原発被災ペットの死「胸が張り裂けそう」篠田麻里子さん
「私は、なんで3月11日生まれなんだろう」
元AKB48の篠田麻里子さん(30)は震災から1年ほど、自問し続けた。
発生当時は仕事でグアムにいた。帰国後、日本の惨状に言葉を失った。年に1回祝う誕生日が、日本にとっては悲しい日になった。
AKB48は震災直後、被災地を支援するプロジェクトを立ち上げる。篠田さんは率先して参加し、震災から2カ月後、岩手県大槌町と山田町の避難所でライブと握手会を開いた。子どもたちが笑顔になる姿を見て「アイドルとして活動してきて良かった」と思えた。一方で「3・11」という言葉を聞く度に、悲しくなった。
震災から1年が経ったころ、母の言葉にハッとさせられる。「3・11に生まれたことを誇りに思い、あなたにしかできないことをやりなさい」。初めて前向きな気持ちになれた。ちょうど1年が経った日のブログに「神様に指名されて、世の中の役に立てと言われているような気がします。これは私の生涯の使命です。この日に生まれたことに誇りを持ちます」と記した。
復興支援で自分だからできることは「発信」だと捉えている。ツイッターのフォロワー数は、240万人超。国内8番目の多さ。被災地への思いを共有しようと毎年つぶやく。今年の11日は被災者に哀悼の意を表し「1日1日を大切に生きること生かされてることありがとう」とつぶやいた。
AKB48在籍時は、計5回被災地を訪れた。卒業後も、今年1月下旬に番組の撮影で福島県を訪問。東京電力福島第一原発事故直後の避難区域内にたくさんのペットが取り残されて死んだことを知った。自身も犬を2匹飼う動物好き。胸が張り裂けそうになった。
被災地のことを知ったつもりだったが、何も知らなかったと実感した。「まだ復興への道のりは遠く、課題はたくさんある。その数々の課題を、皆と一緒に考えていきたい」
震災と同じ日に生まれたことで、苦しんだこともある。「でも逆に、私だからできることを、より真剣に考えることができた。皆が震災を忘れず風化させないためにも、どんどん発信していきたい。それが、自分の使命だと思います」
1986年生まれ。福岡県出身。2005年に結成されたAKB48で、初期からの中心メンバーとして活躍。人気投票「選抜総選挙」の最高順位は3位。13年7月に卒業後は、モデル、俳優として幅広く活動している。4月29日公開予定の映画「テラフォーマーズ」に出演。
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