預かった保護犬を幸せな暮らしへ導くために
保護された犬の数だけ物語がある──。
「保護犬シンデレラ・ストーリーズ」の今回は特別編。保護犬を預かり、里親を探す活動をしているNPO法人「Wonderful Dogs」を運営する岩渕友紀さんに話を伺った。
保護犬の心を開く“明るい保護活動”
![](http://p.potaufeu.asahi.com/sippo-c/3012-l/picture/10561057/2986a23046facc8ce4df442d63ec2675.jpg)
埼玉県川口市にある一軒家を訪れると、愛嬌たっぷりの元気な犬たちが迎えてくれた。ここがWonderful Dogsの事務所兼シェルター、通称「ワンドック」だ。
「活動を始めてから4年が経ち、これまでに保護した犬は700頭を超えました。譲渡会を経て里親さんに引き渡した犬は600頭以上になります」
と、岩渕友紀さん。保健所や各保護管理施設から、毎月10~15頭の犬を引き取り、ワンドックで保護したり、ボランティアに預かってもらったりしているという。岩渕さんが意識しているのは、“明るい保護活動”。
「私たちの保護犬は、悲壮感がないとよく言われるんです。最初は緊張でがたがた震えている犬に対しても、明るく接して心を開いてもらいやすく心がけています。こちらも緊張した様子を出すと、犬はそこから抜け出せなくなってしまいますので」
そう話す岩渕さんのそばでは、毛並みの美しい薄茶色のミックス犬「ガラシャ」が上向きに寝転がり、くつろいだ表情を見せている。岩渕さんの言葉通り、悲壮感とは縁のなさそうな姿が微笑ましい。
「中学生のとき、殺処分についての本を読みました。おびただしい数の捨て犬・猫たちが殺されている現実を知り、最初はできる範囲でいいと思いながら保護活動を始めたのですが、会社員を4年ほどした後に本腰を入れてやっていくことに決めたんです」
![ミニチュア・シュナウザーの「ミュウミュウ」。経口タイプのノミ・マダニの駆除薬を手渡しでパクリ(右)<br />
人懐っこくて元気いっぱいのミックス犬「ガラシャ」と岩渕友紀さん(左)](http://p.potaufeu.asahi.com/sippo-c/3503-l/picture/10561058/38feccc723ad5118bf385e632fed9176.jpg)
人懐っこくて元気いっぱいのミックス犬「ガラシャ」と岩渕友紀さん(左)
そんな岩渕さんの活動の命綱となっているのが「セーブペットプロジェクト」だ。ノミ・マダニの駆除薬「フロントライン」や「ネクスガード」、メリアル・ジャパンの犬フィラリア症予防薬の収益の一部が、岩渕さんたちのような保護団体が必要とする医療費として寄付されている。
「保護してきた子たちは最初に、ワクチンやノミ・マダニ寄生のチェック、犬フィラリア症の検査などの医療チェックを必ず行います。1頭で10万円はかかるので、セーブペットプロジェクトの支援がなければ、財政的にとてもやっていけません」
保護した後、岩渕さんは犬フィラリア症予防薬とセットで、首筋に垂らす「フロントライン プラス」を用いていたが、最近使い始めたのが、経口タイプのノミ・マダニ駆除薬だ。
「ここには犬が複数いるので、首筋に垂らすタイプの『フロントライン プラス』だとほかの犬たちが舐めてしまわないか心配でした。その点、経口タイプの薬は食べさせるだけでよく、犬たちも喜んで食べてくれるので助かっています」
高齢になっても犬や猫とともに
![トイプードルの女の子ソフィ。推定8歳。繁殖犬として度重なる出産と帝王切開を経験。散歩に連れていってもらったこともなく、栄養失調により、多くの歯が溶けてしまっている。
Wonderful Dogs代表の岩渕さんは、「こんなにもつらい経験をしてきたのだから、これからは安心できる場所でゆっくり過ごせることを切に願っています」と語る。](http://p.potaufeu.asahi.com/sippo-c/08ee-l/picture/10561059/64108fcef374f98ddaee0b5c04b430a9.jpg)
大切に世話をしている犬たちを、どのような里親に譲渡していくかは、最も気を配るところだと岩渕さんは語る。
「たとえば一日中家にいるような方の場合、活動的な犬種を飼うのは困難です。それに10年、15年と長く飼い続ければ、犬にも介護が必要になります。そのときのことまで考えていただくようにしています。そうでないと、犬も人間も不幸になってしまうから。それを避けるためにもマッチングが重要だと思っています」
1頭1頭の個性を見極め、その犬に合う里親を懸命に探し続ける。岩渕さんのひた向きな保護活動によって、心に傷を負っていた犬たちは、シンデレラさながらに幸せな暮らしへと導かれていく。
![譲渡会で犬たちを元気に送り出す](http://p.potaufeu.asahi.com/sippo-c/3ccb-l/picture/10561060/da90165867162cd5bb4d0653cf8ff377.jpg)
![Wonderful Dogsの卒業犬イタリアングレーハウンド2歳、男の子こはく](http://p.potaufeu.asahi.com/sippo-c/38d2-l/picture/10561061/77ebb1b181de0f695565292d64aca7d1.jpg)
![Wonderful Dogsの卒業犬ホイミ](http://p.potaufeu.asahi.com/sippo-c/911e-l/picture/10561062/59aa4a953b78e1008a99c816d9170b83.jpg)
保護犬を新しい家族に、迎えませんか
譲渡サポートシステム「しっぽネット」の仕組み
NPO法人ワンワンパーティクラブのしっぽネットでは、保護犬の譲渡を行っています。運営費用は、補助助成金、企業協賛金、寄付金で成り立っています。飼い主となる方の費用負担はありません。
保護犬を引き取りたい方はしっぽネット連絡先へ
NPO法人ワンワンパーティクラブ
電話:080-7051-8243(10時~18時)
メール:sippotkow@wanwan.org (朝日新聞『sippo』を見たとお伝えください。)
HP:NPO法人ワンワンパーティクラブ(別窓で開きます)
病院でのノミ予防・マダニ対策が保護犬・保護猫たちの幸せにつながります。
1年で約16万頭。飼い主に捨てられ、殺処分されるイヌやネコの数です。「セーブペットプロジェクト」は、動物病院で処方されるノミ・マダニ駆除薬「フロントライン」の売り上げの一部を、飼い主のいない動物たちを救うために役立てる動物愛護プロジェクトです。あなたのペットへの愛情が、行き場をなくした動物たちの幸せへとつながります。
セーブペットプロジェクトでは、NPO法人ワンワンパーティクラブを通じ、これまで400頭もの被災犬の保護活動を支援してきました。現在は、被災ペット以外の保護犬たちの支援活動にも着手しています。セーブペットプロジェクトについてはこちらから
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