ペットのための栄養学 「手作り食」で栄養学に関心を
栄養バランスがとれているとわかっていても、市販のペットフードはおいしそうには見えないことが多い。原材料の安全性に疑問を持つ人もいる。そんな思いから、手作り食に関心を持つ人は少なくない。
特に挑戦することが多いのは犬の飼い主だ。犬のほうが猫よりも食べられる食材が多く、食事への柔軟性が高いからだ。
「手作り食は食事の一つのバリエーション」と話すのは、『愛犬のための手作り健康食』などの手作り食本を数多く執筆している須棈病院院長の須棈恭彦氏だ。
体調と関係が深い食事
犬と猫も人間と同じ動物なのだから、人間が外食を楽しむように、ときにはペットフード以外の食事を与えてもいいのではないか、という考えを持っている。
また、人間の医療で経験則から生まれた東洋医学が効果を発揮する症状があるように、ペットの場合も科学的な研究データはないものの、獣医師の経験則で試してみると改善する症状があるという。
「大学院時代、大学病院の診察で、なかなか治りきらない皮膚病の犬がいました。治療法がないのなら、ダメもとで食事を変えてみたらどうかとアドバイスしてみたんです。そうしたら、赤みが消えて毛が生え、治ってしまった。その経験から、ひょっとしたら食事で治る病気もあるのかも、と思ったのが手作り食に関心を持つきっかけでした」
とはいえ、須棈氏も手作り食で完璧な栄養バランスをとることは難しいと考えている。また、1日に必要な栄養を満たす食事を毎日作るのは、手間とお金がかかる。それよりも、ペットの体調や体形をよく観察しながら、数日から数週間の期間にトータルで栄養バランスがとれていればまったく問題ないと話す。
体調に敏感になる
「手作り食で問題なのは、こだわりすぎることです。一番大切なのは、ペットが元気で長生きすること。市販のペットフードにもいい面がたくさんあります。ペットフードを併用し、できる範囲で手作り食を楽しめばいいのではないか」
また、手作り食を始めるにしても、栄養学の知識は持っていたほうがいいとすすめる。栄養素や食事量の知識を持っていれば、どのような食事を作ればいいかがわかりやすいからだ。
須棈氏は、手作り食やペット栄養学に関心の高い飼い主などを対象に、「ペット食育協会」を主宰している。食事内容を飼い主が自信を持って選択できる判断力を身につけるのが目的だ。ペットの体の変化を一番よく知っているのは毎日、一緒にいる飼い主。手作り食の一番のメリットは、ペットの体調に敏感になることかもしれない。
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