「みんなで殺処分ゼロを目指そう」 目標まであと約330日

「殺処分ゼロ」を呼びかける新聞広告
「殺処分ゼロ」を呼びかける新聞広告

「ピースワンコ・ジャパン」プロジェクトが当面の目標として掲げているのが、殺処分ゼロの「1000日計画」。広島県の犬の殺処分数を、1000日以内にゼロにしようというものだ。

 スタートしたのは一昨年9月の動物愛護週間。その3カ月ほど前、犬と猫を合わせた殺処分数で広島県が2011年度に全国最多を記録したと報道され、闘志に火がついた。困難だからこそ、ゼロを実現できれば価値がある。1000日は短すぎるという意見もあったが、無理と思うようなことに挑戦しなければ努力やイノベーションが生まれないことを、20年近いNGOの活動経験から知っていたので、そのまま押し通した。「みんなで殺処分ゼロを目指そう」というカラー広告を地元紙に出し、のろしをあげた。

 その1000日計画がいよいよ残り1年を切った。先日、広島県の担当者から聞いた2014年度の速報値によると、県内の犬の殺処分数は1292頭。前年より400頭ほど少なく、2011年度の2342頭と比べると1000頭余り減ったが、依然として目標には遠い。

 実は広島では、「不要」になった犬や猫を月2回、まるでごみ収集のように県動物愛護センターが回収して回る「定時定点回収」という制度が今年の3月まであった。安易なペットの放棄を助長していると考え、私たちも他の保護団体と協力して県議会に署名を提出するなど働きかけた結果、4月にようやく廃止された。今年度はその効果で殺処分数が大幅に減ると期待している。

 蛇口を閉める対策の一方で、私たちは保護頭数の拡大と譲渡の強化を目指してきた。施設の収容能力はいま200頭余り。昨年4月の広島市に続き、12月には神奈川県藤沢市に譲渡センターを開設した。担当スタッフも20人を超えた。目下、焦眉の急は、新たな保護施設の用地探しである。来年6月15日の期限までに、収容能力を今の3倍程度にまで引き上げるため、施設の建設に適した土地を借りる交渉を急いでいる。

神奈川県藤沢市の湘南譲渡センターには、自宅での保護犬との暮しをイメージできる部屋が設けられている
神奈川県藤沢市の湘南譲渡センターには、自宅での保護犬との暮しをイメージできる部屋が設けられている

 殺処分数が犬の2倍近い猫のことも、もちろん忘れているわけではない。広島市内の団体と協力し、保護・譲渡活動や、野良猫を増やさないための不妊手術などを支援している。

 越えるべきハードルはまだあるが、心強いことに、2年足らずの間に殺処分ゼロへの共感は広がり、ピースワンコの活動に対する支援も急増した。残り約330日、これを励みとして目標達成に全力を尽くしたい。

大西健丞
1967年生まれ。NPO法人「ピースウインズ・ジャパン」代表理事。広島県神石高原町にシェルターを設け、捨て犬の保護・譲渡活動に取り組むプロジェクトを運営している。

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この連載について
大西健丞のピースワンコ日記
NPO「ピースウインズ・ジャパン」代表の大西健丞さんが、殺処分ゼロをめざして犬の保護活動に取り組む日々を語ります。
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