ピンの不思議な回復 そして「8週齢」のこと

「こんなに元気です」
沖縄県浦添市の「ハウスドッグ」から、ほかのミニチュア・ピンシャーとじゃれ合う元気なピンの動画が送られてきたのは、ピンが羽田空港の貨物ターミナルから旅立った2日後のことでした。
まるで犬の幼稚園のように、オーナーのSパパさんやスタッフさんと一緒に遊んでもらっているピン。それは私が初めて見る元気なピンの姿でした。それだけでも驚いたのに、スタッフさんから「咳なんて、してませんよ」というメッセージが……。キツネにつままれたようでした。
その後、ピンは再び飛行機に乗って羽田空港へ。パートナーと迎えに行き、オレンジ色のバスケットのふたを開けて、私がまず見たのはピンの顔ではなく、特徴あるギザギザの尻尾でした。
「ピンだ~~~」
再会にうれしさがこみ上げてくると同時に、あんなに楽しそうな沖縄から再び連れ戻したことに対する罪悪感があったのも確かでした。
それからピンは、また咳が続きましたが、徐々に治まっていき、ピンが生後3カ月になった2003年7月、咳はピタリとやみました。
「なんだったんだろうね。小児ぜんそくみたいなことだったのかなぁ」
子どもがいない私は、当時そんなふうに思っていたものです。
でも今なら、こう思うのです。ピンの激しい咳が止まらなかったのは、そして、生まれ故郷の沖縄に戻った数日間はうそのように一度も咳が出なかったのは、「8週齢」が関係していたのではないでしょうか。
ペットブームのさなか。我が家も「小さければ小さいほどいい」と聞きかじった〝知識〟から、生後6週間のピンを選び、迎えました。
無知を心から恥じると同時に、親元にいたい盛りのピンを沖縄とは大きく異なる気候の東京で、しかも新米すぎる飼い主の私のところに来てくれたピンには、本当に申し訳ないことをした……と、このことは今でもピンの仏壇に向かってわびています。
8週齢については、「そんなのは関係ない」という意見もあると聞きます。でも、私とピンの体験は、まさに8週齢前に親元から引き離されたことから起きた最悪の症状だったと思えてならないのです。
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