定期的おしっこチェック
猫の病気を!

大切なペットの病気に早く気づくには
尿比重チェックを!

  • 病院定期検査で安心を
  • 自宅での簡易チェック

猫に多い病気 慢性腎臓病(腎不全)

高齢猫の8割が罹患する腎臓病

高齢猫の8割が罹患する腎臓病

15歳以上の猫の8割がかかえている腎臓病。この「腎臓病」とは俗称で、慢性腎不全や急性腎不全、尿路結石、尿管結石などを含めた総称です。かなり進行してからでないと症状が表れないため、早期発見が難しい病気でもあります。しかし、早期に発見できれば、投薬や食事療法により、健康寿命を延ばすこともできます。

腎臓病の早期発見のために飼い主に何ができるのか。ペットの予防医療を啓蒙する獣医師ネットワーク「一般社団法人Team HOPE」代表理事の上條圭司獣医師に教わりながら、見ていきましょう。

猫が腎臓病になりやすい理由

猫が腎臓病になりやすい理由

猫はもともと、砂漠の生き物です。水が少ない環境でも生きられるよう、猫の体は、おしっこを濃縮して水分を出さないようにする構造をしています。濃いおしっこを作ることを繰り返すことで、猫の腎臓には大きな負担がかかります。その結果、年齢とともに腎臓の機能が低下し、腎臓病になりやすいといわれています。

今すぐチェック 腎臓病のよくあるサイン

水分摂取量が増える、口臭が酷くなる、痩せてくる、尿が増える、食欲不振

最初に表れる症状は、猫が「水をたくさん飲む」こと。そして、「食欲がなくなる」「痩せる」「毛づやが悪い」なども出てきます。特に、「痩せる」「毛づやが悪い」状態では、腎臓の機能はかなり失われていると考えられます。

猫はそもそも、水をあまり飲みません。そのため、猫がたくさん水を飲む場合は、腎臓病だけではなく、糖尿病や食事に塩分が多すぎるなど、何か体に異常がある兆候です。猫が水をたくさん飲むようになったら、動物病院で検査しましょう。

外見で分かる頃には腎臓病は進行した状態

低下した機能は戻らない だから早期発見が大事!

腎臓は一度悪くなると、機能はもとには戻りません。だからこそ、できるだけ早く異変に気づいてあげることが大切です。

初期の兆候として水を飲む量が多くなることがありますが、さらにもっと早いタイミングで異変に気づくためには、

①血液検査でクレアチニンなどの数値が上昇していないか

②尿検査で「尿比重(にょうひじゅう)」が落ちていないか

などの項目を調べるとよいでしょう。つまり、定期的な検査によって早期に発見できる可能性があるのです。

猫の腎臓病のステージ分類

若いうちから検査を
早めに気づいてあげられれば、ご長寿につながります

大切な愛猫のために 猫の腎臓病の早期発見に必要なこと

猫の腎臓病を早く見つけるために最も大切なことは「定期的な検査」と、飼い主さんが「ふだんの状態を把握しておくこと」
猫の体調変化に気づけば、食事に注意したり薬を飲んだり、早めに対処することができます。

猫の腎臓病の早期発見に必要なこと

「うちの猫はまだ若いから」といって安心していませんか?若いうちから動物病院で検査を受けてください。検査で異常が見つかれば、早めに治療を始められるので長寿につながります。飼い主さんは、猫に症状が出てからあわてるのではなく、自宅でも猫の体調に注意を払いましょう。

また、おしっこの検査は特に重要です。尿検査で尿比重が落ちていれば、腎臓機能の低下を疑うことができるため、いち早く腎臓病に気づくことができます。

尿検査の項目 pH、たんぱく、ブドウ糖、潜血など

尿比重の検査とは?

尿比重の検査とは、おしっこに溶けた様々な老廃物が含まれる比重を調べる検査です。「尿比重が低い」ということは、薄いおしっこが出ていることになり、腎臓病の可能性が疑われます。一方で、「尿比重が高い」と、脱水症状や糖尿病といった可能性が出てきます。

動物病院での採尿は、猫にとってはストレスになることもあり、検査項目の数値に影響が出る可能性もあります。自宅なら安心しておしっこできるので、飼い主さんが容器に入れて動物病院に持っていくことで、より普段の状態に近い数値を検査できます。

尿比重の測定で分かること

尿比重は、尿検査の項目の一つです。一般的な尿検査では、尿比重のほかに、たんぱくや潜血などの項目があり、血液検査や血圧測定の結果とあわせて、総合的に病気を診断します。

ただ、なかには、動物病院に行くのが苦手で、検査を怖がってしまう猫もいます。
そんなときは、自宅でおしっこをとって病院に持って行き、調べてもらう方法もあります。自宅での採尿は猫がいつもの通りの環境でおしっこできるメリットがあります。一方で、空気に触れるなどして尿の状態が変化するというデメリットも。採尿後は、保冷材などで冷やしながら、できるだけ早く持参することが大切です。

そのうえで、病院で改めて尿検査を受けて、詳しく調べてもらいましょう。

自宅で簡単 猫のおしっこをとる方法

家庭用の尿比重キットを使うことで、その子のふだんの尿比重がどれくらいかが分かります。元々の尿比重が高い子もいれば、低い子もいます。ふだんからその猫がどういう状態なのか知っていれば、猫の体調変化に気づきやすくなります。

尿比重チェックは、おしっこに異常があった時だけではなく、健康チェックとして月1回ペースでしておくとよいでしょう。

自宅でシステムトイレをつかった場合の採尿方法を紹介します。

  • システムトイレを用意する

    システムトイレを
    用意する

  • おしっこを吸収するシートなどを置かない状態で、猫におしっこをさせる

    おしっこを吸収するシート
    などを置かない状態で、
    猫におしっこをさせる

  • 引き出し部からおしっこを採取

    引き出し部から
    おしっこを採取

家でできる! 猫のおしっこ簡易チェックツール

上條先生とsippo編集部が見つけた、猫のおしっこの簡易チェックツールを3つご紹介します。
おうちの猫ちゃんのために試してみてはいかがでしょうか?

ニャンとも清潔トイレ おしっこチェックキット

ニャンとも清潔トイレ おしっこチェックキット

花王

ビーズが入った専用容器におしっこを入れると、ひと目で尿比重の目安が分かります。例えば、ビーズが沈んだら「薄め」、浮いたら「良好な濃さ~濃いめ」となります。花王のシステムトイレ用チップを使っておしっこを採取すると、おしっこの成分に影響を与えずに尿比重をチェックできます。

ポケット猫尿比重屈折 PAL-CAT

ポケット猫尿比重屈折計 PAL-CAT

アタゴ

猫専用の尿比重計で、3秒後に簡単に尿比重を測定できます。測定後は水で洗い流すことができる防水仕様。公益財団法人日本動物愛護協会の活動に賛同し、動物愛護活動のためにこの商品の売り上げの一部を寄付しています。漫画「おじさまと猫」の「ふくまる」(ピンク・グリーン)バージョンもあります。

愛猫のための 猫用尿検査キット

愛猫のための猫用尿検査キット

フェリシモ

手軽におしっこを採取できるキットを使い、専門機関に送付することで、さまざまな値を計測してもらえます。検査機関に到着後2週間ほどで、尿比重のほか、尿pHや尿たんぱくなどの7項目の検査結果が届きます。販売価格の一部は、犬や猫の保護活動などを支援する「フェリシモの猫基金」として運用されます。

獣医師から飼い主さんへメッセージ

上條圭司先生

ゼファー動物病院院長

TeamHOPE代表

上條圭司先生

腎臓病を高齢猫の病気だと思っている飼い主さんも多いのですが、15歳でも腎臓に異常のない猫もいれば、5~6歳で発症する猫もいます。食事などの環境が影響している場合もありますが、そうでない場合もあり「若いから大丈夫」と安心するのではなく、若いうちから定期的に検査を続け、早期発見につなげて欲しいと考えています。

ネコも動物病院プロジェクトって?

ネコの動物病院の受診率が、イヌに比べてとても低いことをご存じですか?
日頃から動物病院で受診することを習慣にして、どのネコにも健康で長生きしてもらいたい。
sippoはそんな考えから、「ネコも動物病院プロジェクト」を実施しています。