新宿区が初めての保護猫譲渡会を開催 20匹の猫が参加、会場も区の施設で
東京都新宿区保健所が主催する保護猫譲渡会が13日、同区役所第二分庁舎分館で開かれた。新宿区が譲渡会を主催するのは初めて。また新宿区の施設で譲渡会を開くのも初めてだ。
譲渡を促進する取り組み
この日、新宿区に登録している「犬猫相談支援ボランティア団体」から、約20匹の猫が参加した。会場は区役所分館1階の一室で、普段は会議などで使っている場所だという。午後1時半に譲渡会がスタートすると、猫を家族に迎えたいという人が次々と訪れた。ボランティア団体のスタッフが「とっても人懐っこい子ですよ」などと猫たちを紹介していく。
なぜ初の新宿区主催による譲渡会を開催することになったのか。新宿区は、昨年11月から、地域の犬や猫に対する新しい「相談支援体制」をスタートしていた。これは、犬や猫の保護や譲渡で困っている市民からの相談を区が受け付けたり、同区に登録したボランティア団体に対して、犬や猫を保護したときの獣医療費など管理や譲渡にかかった費用の一部を助成したりする制度だ。
背景には、飼い主が施設に入所したり亡くなったりして飼っていた犬や猫が取り残され、次の飼い主がみつからず保護が必要なケースが出てきていることがある。保護や譲渡を進める体制づくりが必要となっていて、今回の譲渡会もこの譲渡を促進する取り組みの一環だという。
譲渡会はこれまで、保護団体が自分たちで会場を借りたり、企業の協力を得るなどして開催されてきた。新宿区のように行政が主催して行政の施設で譲渡会を開くことについて、今回の譲渡会の参加団体のひとつである「落合第一地域ねこの会」代表の関きよ子さんは、「ボランティアの励みにもなるし、区民にも理解が広がると思う」と話す。
理解が広がることへ期待
飼い主のいない猫をめぐる取り組みは、譲渡会だけではない。飼い主がおらず外で暮らす猫を捕獲し、不妊去勢手術をして元の場所に戻し、地域で見守る「地域猫活動」は、不妊去勢手術を終えた後の地域での見守りの期間の方が、手術を受けさせるのにかかる時間よりもはるかに長い。だが地域猫活動についての認知が住民の中に広がらなければ、理解を得ることも難しくなる。今回の譲渡会に参加した一般社団法人「42825(よつやねこ)」副代表の根井まりさんは、今回のような行政が主催する取り組みを通じて、「地域猫への餌やりなどについて、理解が広がることにつながると思う」と期待を寄せる。
新宿区保健所の担当者は、「今回の譲渡会に参加したボランティアの声を聞くなどして振り返りをしてみて、今後についても前向きに検討していきたい」と話している。
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。