保護団体「猫の森」とサンシャイン池崎さんがタッグ 保護猫施設の建設へ支援募る 

サンシャイン池崎さんと猫の森代表の北村由紀子さん
サンシャイン池崎さん(右)と、猫の森代表の北村由紀子さん(猫の森提供)

 千葉県船橋市を拠点に活動するNPO法人「猫の森」が、新しい保護猫施設をつくりたいと支援を募っている。若い猫もシニア猫も快適にすごせて、明るく開放的で保護猫を家族に迎えたい人が気軽に立ち寄りやすい施設を目指す。クラウドファンディングサイトで支援を呼びかけており、締め切りは7月31日午後11時だ。

現在100匹の猫を保護

 猫の森は、お笑い芸人のサンシャイン池崎さんが、2018年に2匹の愛猫「風神」「雷神」を迎え入れた団体でもある。

 個人の猫ボランティアとして活動していたメンバーが、2017年にNPO法人として立ち上げた。現在は、団体の保護猫施設「猫の森ハウス」で約50匹、ボランティアの自宅に約50匹、計約100匹の猫を保護しており、約150人の登録ボランティアが活動を支えている。

 行政施設である動物愛護指導センターから赤ちゃん猫や負傷した猫、シニア猫といった、受け入れ先がみつかりにくい猫たちを保護している。また地域の多頭飼育崩壊事案についても、同センターと協力して対応しているという。

保護猫たち
行政施設や多頭崩壊などから猫を保護している(猫の森提供)

 NPO法人として発足した当時は、団体としての保護猫施設は持たず、ボランティアの自宅で預かりながら新しい飼い主の元へと送り出していた。転機となったのは、団体を立ち上げてから2年後の2019年だ。船橋市内で多頭飼育崩壊が起きていることがわかり、100匹近い猫を緊急レスキューしなくてはならなくなった。クラウドファンディングで支援を募り、周囲の協力も得て空き部屋を借り、一時保護施設をつくることができたという。

 その後、退去を迫られたり、多頭飼育崩壊案件に多数携わるようになり保護する猫の数が増えて手狭になったりして、2回の引っ越しを経験した。今は市内のマンションに部屋を借りて、保護猫が暮らす施設「猫の森ハウス」として運営している。

どの猫にも幸せに暮らしてほしい

 ただ、悩みもある。どんな猫も快適に穏やかに過ごせる環境を整えたいと願うが、今はシニア猫、そして猫白血病キャリアの猫の専用スペースが確保できていない。このため、落ち着いて過ごしたいシニア猫が元気いっぱいの若い猫の中で一緒に暮らし、猫白血病キャリアの猫はケージの中で過ごしているという。どの猫にもストレスなく幸せに暮らしてほしい――そう願い、新しい保護猫施設をつくる「シン・猫の森プロジェクト」を始動した。

保護猫施設のデザイン図
明るく開放的な保護猫施設を目指す(猫の森提供)

 ボランティアスタッフも通いやすい拠点を探し続けた結果、現在の施設から2キロほどの場所にある物件を見つけた。築60年の一軒家で、土地と建物で価格は2550万円だ。増改築も検討したが、建築の基準を満たして改築するのは非常に難しいことがわかり、新たに建物を建てることにしたという。そのためには多額の資金が必要になるが、猫の森はいま保護している猫の医療費やフードなどの消耗品にかかる費用、現在借りている部屋の家賃や光熱費の支払いで精いっぱいのため、支援を募ることを決めた。

保護猫施設でボランティアをするサンシャイン池崎さん
猫の森でボランティアを続けているサンシャイン池崎さん(猫の森提供)

 この「シン・猫の森プロジェクト」に全面的に協力するのが、サンシャイン池崎さんだ。猫の森から猫を迎え入れた後も、ボランティアに参加し続けている。プロジェクト名も、池崎さんが命名したという。クラウドファンディングにあたり、池崎さんは「たくさんの保護猫を幸せにするには、たくさんのボランティアさんが必要で、今回のプロジェクトでより猫にもボランティアさんにも快適な環境になってほしい」とメッセージを寄せ、「少しでもご協力いただけるとうれしいです」と支援を呼びかけている。

明るく開放的な保護猫施設をつくりたい

 新しい保護猫施設では、目指すことがある。

 ひとつは、明るく開放的な施設であることだ。動物保護団体は都心や繁華街から離れた場所にあり、住所を公開していないことも多いという。そのため、保護猫を迎えたいと思ってもハードルになってしまうのではないかと猫の森メンバーは考えた。譲渡会という方法もあるが、多くの団体は保護施設ではない外部の施設に猫を連れて行って譲渡会を行うため、シニア猫や人なれしていない猫には移動がストレスになることもある。

 そこで、新しい施設は保護猫を家族に迎えたい人が、気軽に立ち寄れる、明るく開放的な場所を目指す。

2匹の猫
どんな猫も幸せに過ごせる場所を(猫の森提供)

 また、ケガをしたり病気だったりする猫も、できるだけストレスなく過ごせるよう、猫同士のパーソナルスペースに配慮した間取りを考えていく。猫白血病キャリアの猫のための部屋も設ける。さらに、若い猫とシニア猫のスペースを分けて、元気いっぱいで遊び盛りの若い猫は、上下運動ができるキャットウォークを、のんびりと過ごしたいシニア猫には滑りにくい床材を使い、ひなたぼっこが楽しめるような場所も検討している。

 加えて、広いシャンプー台や大きなケージやキャリーなども洗える洗い場スペースも備えて、常に清潔さを保てる場とする予定だ。今はマンションの浴室1カ所を使っているが、多頭飼育崩壊からのレスキューの場合一度に多くの猫をシャンプーする必要があるため対応が難しい。そのため施設から車で40分かけて、船橋市動物愛護指導センターのトリミング室を借りている状態だという。

マンションの浴室
現在はマンションの浴室を洗い場にしている

 賃貸物件では、退去を求められる可能性もある。安定的に活動を継続し、安心して猫たちが過ごせるようにするには自分たちの拠点が必要だと考え、今回のプロジェクトをスタートした。もし保護猫施設で生涯を終える猫であっても、幸せとぬくもりを感じてもらえるよう、1匹でも多くの猫に生まれてきた喜びを感じてもらえるように。そして一人でも多くの人に猫と暮らして笑顔あふれる人生を送ってもらえるように力を貸してほしいと、猫の森は呼びかけている。

 クラウドファンディングは、第一目標として2700万円の支援を集めることを目標にしている。目標金額に達したときのみ、猫の森は支援金を受け取ることができる。もし1円でも満たない場合は、支援者に全額返金となる。支援募集は7月31日午後11時まで。支援はクラウドファンディングページから

猫の森のメンバーたち
猫の森のメンバーたち

sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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