突然のテナント賃料アップに直面! 動物保護団体「もりねこ」、再スタートへ支援募る

猫たち
認定NPO法人「もりねこ」が再スタートへ支援を募っている(もりねこ提供)

 盛岡市を拠点に、2014年から動物保護活動を行っている認定NPO法人「もりねこ」が転機を迎えている。もりねこが運営する保護猫カフェが入るビルのオーナー変更によりテナント賃料が大幅に値上げされることになったのだ。もりねこは活動を見直し、再出発する方針だ。これにともない、フロアの一部からの撤収などの費用が必要になるため、クラウドファンディングで支援を募っている。支援の締め切りは、9月29日午後11時だ。

(末尾に写真特集があります)

970匹の猫を保護してきた

 もりねこは、盛岡市内で役割が異なる四つの施設を運営している。まず、2014年に「保護ねこカフェもりねこ」をスタートした。次に2017年に猫エイズ陽性の猫や事故などで体にハンディがある猫のためのシェルター「もりねこプラス」を開設し、2021年には高齢だったり病気だったりして特別なケアが必要な猫のための終生飼養施設「しっぽのおうち」を始めた。さらに2022年には、避妊去勢専門の動物病院「もりねこ診療所」を設立した。これまでに約970匹の猫を保護し、約820匹を新しい家族の元に送り出したという。

もりねこの体制
もりねこは、3つのシェルターと不妊去勢手術専門の動物病院を運営している(もりねこ提供)

 自治体とも協力して活動している。盛岡市との協働事業「もりおかニャンとも幸せプロジェクト」は、保健所に収容された猫を一時的に預かるボランティアを市民から募集し、さらに猫にかかる医療費や消耗品の購入費を支援する取り組みで、2017年から続けている。

テナント賃料が大幅に値上げ

 ところが、思わぬ事態が起きる。入居するビルで、テナント賃料の大幅な値上げが決まったのだ。このビルの2階に「保護ねこカフェもりねこ」、5階に「もりねこプラス」が入居している。団体の運営費用は、約45%がカフェの入場料や物販、残りを寄付でまかなっているが、コロナや物価高騰の影響で、思うように収入が得られず赤字が続いている状況だった。猫を保護すればするほど費用もかかり、猫の医療費に年間500万円かかるという。

三毛猫
テナント賃料の大幅値上げに直面した(もりねこ提供)

 このまま無理をして進めば、立ちゆかなくなってしまう――。保護活動を継続していくために、もりねこは活動を見直して、新たなチャレンジを行うことを決めた。

「みんなで活動する」へ

 まず2階の「保護ねこカフェ」で暮らす健康な猫たちを、一時的にボランティア宅で預かってもらう。次に5階の「もりねこプラス」で暮らす猫を2階に移動し、2階を猫エイズ陽性の猫のための保護猫カフェにリニューアルする。猫エイズ陽性の猫と触れ合ってもらい新しい家族との出会いの場とするほか、普通の猫と同じように暮らしていることを知ってもらう機会にもしたいという。今回のクラウドファンディングで寄せられた支援は、2階のリフォーム費用のほか、5階を原状復帰する費用に活用する。

キジトラ猫
「みんなが参加する」活動の実現をめざす(もりねこ手強)

 今後は、これまでの活動から得た保護活動にまつわる知識を、他団体や地域に還元し、「みんなで活動に参加する」を目指すという。具体的には、以前に比べて保護猫カフェが普及してきたことを受けて、健康で人なれしている猫たちはもりねこでなくても出会いの場を作れると考え、今後は保護猫カフェを開業したい人をパートナーとして、提携していくことを考えているという。

 もりねこの担当者は「アイデアを一つひとつ行動に変え、実行しながら、これまで以上に地域や社会とのつながりを強めていきます。猫と人をつなぎ、みんなを幸せにする仕組みを作ることで、『猫も人も幸せな社会』を目指します」と話し、支援を呼びかけている。

 クラウドファンディングでの支援はこちら。支援の募集は9月29日午後11時まで。

(磯崎こず恵)

sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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