犬や猫にもっと幸せな時間を 熊本の保護団体が「多目的ルーム」の建設目指し支援募る

茶色の犬
高齢や病気、けがをした犬や猫を積極的に受け入れている(犬猫ケアホームきずなの丘提供)

 熊本県内を拠点に動物保護活動を行っているNPO法人「犬猫ケアホームきずなの丘」(熊本県西原村)が、施設内に多目的ホールを建設したいと、支援を募っている。保護した犬や猫により快適な環境をつくり、譲渡の機会を作り出し、災害時には地域の動物たちの避難場所とするなど、さまざまな用途に使えるホールだ。支援の申し込みは、4月21日午後11時まで。

(文末に写真特集があります)

「1匹でも多くの命を救いたい」

 犬猫ケアホームきずなの丘代表の上野好江さんは、2016年の熊本地震で犬たちと共に被災した。避難所では他の避難者に迷惑をかけてしまわないかと肩身が狭く、車で犬たちとともに避難生活を送った。当時、地震により不妊去勢手術を受けていない犬や猫が家から逃げてしまい、野良犬や野良猫の数が増え、保健所などに施設は収容された犬や猫であふれていたという。「どんな状況にいても、1匹でも多くの命を救いたい」と、上野さんは2017年に犬猫ケアホームきずなの丘を立ち上げた。

丘からの眺め
犬猫ケアホームきずなの丘からの眺め(犬猫ケアホームきずなの丘提供)

 保護している犬や猫は、ほとんどが保健所などの行政施設からの引き取りだ。高齢だったり、病気やけがをしていたりすると、保健所では譲渡先が見つかりにくく殺処分の対象になってしまうため、積極的に受け入れている。受け入れ後に新しい家族が見つからない場合は、犬猫ケアホームきずなの丘で終生飼養している。

 上野さんは「若い犬や猫は保健所でなんとか耐えられるが、高齢だったり病気だったりすると自分でご飯を食べるのが難しいことなどから弱っていくのが早い。このため優先的にレスキューしている」と話す。

雨の日も存分に運動ができるように

 現在きずなの丘では、犬23匹、猫32匹を保護しているが(預かりボランティアの元にいる犬や猫を含む)、十分なスペースが確保できなくなり、通路やドアの前にもクレートを置き、保護しているという。

柵の向こうの犬
スペースがないため、ドアの前で生活する「ラテ」(犬猫ケアホームきずなの丘提供)

 譲渡会を開く場合、高齢や病気の犬や猫は移動で負担がかかるため、施設から離れた場所は難しい。施設の建物内には十分なスペースが確保できず、施設の屋外で譲渡会を開いている。だが、きずなの丘は山の上にあるため、天候が変わりやすい。譲渡会を予定していたものの、天候の変化で中止せざるを得ないこともあるという。

 今回、目指しているのは、さまざまな用途に使える多目的ルームの建設だ。

 広さは40畳ほどで、冷暖房を備える。動物の保護スペースにも活用するほか、悪天候時でも犬たちが存分に動き回れる運動スペースや、譲渡会スペースとしても利用する。さらに、一般の飼い主さんに向けての勉強会を開いたり、他団体から緊急時に動物を受け入れたり、災害時に地域の飼い主が動物と同行避難出来る場所にもする予定だ。

完成イメージ図
多目的スペースの完成イメージ(犬猫ケアホームきずなの丘提供)

 上野さんは「多目的ルームがあると、犬や猫たちの生活スペースが確保できるだけなく、雨の日にも思う存分運動ができ、新しい家族と出会う機会を増やすことも出来る。今よりももっと幸せな時間を過ごしてもらうことができるようになる」と言い、さらに「犬や猫の殺処分は、私たちの団体だけでは解決できない。他の団体さんや地域の方々と協力して、人と動物の共生を目指したい。きずなの丘がその拠点になってけたら」と話している。

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sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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