犬の歯ブラシはどう選ぶ? 大切なことは毛の柔らかさと密度、面積の大きさ
歯ブラシで愛犬の歯をみがいているものの、これで本当にみがけているのか不安……という人もいるのでは? 歯ブラシ選びは、愛犬が嫌がらず歯みがきをさせてくれるか、またきれいにみがけるかに深くかかわっています。犬の歯みがきには、どんな歯ブラシが最適なのでしょうか? 花小金井動物病院の林一彦先生に聞きました。
犬の歯ブラシ選びのポイントは毛の柔らかさや密度
人間同様、犬の歯みがきに最適なのは歯ブラシを使ってみがくこと。歯みがきガムや歯みがきトイなどでは、歯周病の原因になる、歯と歯ぐきの間に入り込んだ歯垢を取り除くことができないからです。
犬の歯ブラシ選びにはいくつかポイントがあります。さまざまな形の「犬用歯ブラシ」も売られていますが、必ずしも犬用のものを選ぶ必要はありません。
毛の柔らかい歯ブラシ
人間が自分の歯をみがくときは自分で力加減できますが、犬の歯をみがく場合、きれいにしようと思うあまり力を入れすぎてしまうこともあります。そのときに毛の硬い歯ブラシだと、愛犬が痛い思いをして歯みがき嫌いになってしまったり、歯や歯ぐきを痛めてしまったりすることもあります。そのため、毛の柔らかいものを選ぶことが大切です。
毛の密度が高く、刷掃面の面積が大きい歯ブラシ
愛犬の歯は、自分の歯のように自在にみがけないことが多く、特に歯みがきを始めたばかりのときは1回サッとみがくのがやっと、ということもあります。そのため、歯ブラシはみがく面が大きく、毛の密度が高いもののほうが、必要な部分をみがける可能性が高くなります。小さい歯ブラシのほうが細かい部分までみがけそうな気がしますが、愛犬が歯みがきを嫌いにならないためには、さくっと1〜2分程度で終わらせることも重要です。
できればヘッドの先が細い歯ブラシ
刷掃面は大きいほうが犬の歯をみがきやすいですが、ヘッドの先端が細くなっていると、口の中に入れやすく、奥まで届くので、使いやすいです。
歯ブラシは、毛先が曲がって開いているなどブラシ部分の形が変わってきたら、うまくみがけなくなってくるので、新しい歯ブラシに取り替えましょう。
歯みがき粉は不要。水をつけてみがきましょう
犬に歯みがきをするときは、基本的に歯みがき粉は不要で、水をつけるだけでOKです。水を入れたコップで歯ブラシをゆすぎながらみがきます。ただし、最初は嫌がる子が多いので、歯ブラシに風味づけ程度にはちみつやジャムなどをつけて、まずはなめたらほめるところから始めてもよいでしょう。
犬用の歯みがき粉も販売されていますが、犬は口をゆすいで吐き出すことができないので、歯みがき粉が細菌とからまっていつまでも口の中に残るだけです。一般的な人間用の歯磨き粉は、フッ素中毒を起こす危険性があるので、使ってはいけません。歯みがき粉を使いたい場合は、赤ちゃんや要介護者、ペットにも使える、飲み込んでも大丈夫な「オーラルピース」をおすすめします。
愛犬が嫌がりにくく、みがきやすい歯ブラシを選びましょう
犬の歯ブラシを選ぶときは、毛が硬く、毛の密度も低いものは避けて、毛が柔らかく、毛の密度が高く、みがく面積の広いものを探しましょう。また、子ども用の歯ブラシは毛が短いため、当たった感触が硬く、愛犬が痛がることがあります。
最適な歯ブラシを選べば、愛犬が歯みがきを嫌がりにくく、また短時間でもきれいにみがくことができます。
- [監修]獣医師 林一彦
- はやしかずひこ 歯学博士。『動物歯科クリニック 花小金井動物病院』歯科診療責任者。日本大学獣医学研究科修士課程修了後、同大学松戸歯学部病理学教室専任講師、英国ブリストル大学歯学部での客員講師、日本大学松戸歯学部社会歯科学講座教授を経て、2013年、動物歯科クリニック花小金井動物病院を開院し、無麻酔での歯石取りや極力抜歯しない治療を行う。著書に『歯をめぐる生物学~動物とヒトの歯~』(丸善出版刊)などがある。
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