sippo連載「猫はニャーとは鳴かない」が書籍に 人生を変えた猫「ぽんた」との日々
2018年5月から2年間、sippoで人気を博したコラム連載「猫はニャーとは鳴かない」を改題・加筆修正して一冊にまとめた『ハチワレ猫ぽんたと過ごした1114日』(河出書房新社)が、昨年12月に発売となった。
猫だけでなく動物全般に興味すら抱いていなかったという著者だったが、ぽんたと出会い、共に過ごした月日を通して、その人生観までもが変わったという。
ぽんたに学び感じたこと、そしてこの本を通して伝えたいことを、著者の宮脇灯子さんに聞きました。
命には必ず終わりがくる
陽のあたる場所で一見のどかそうに眠る野良猫も、過酷な環境で生きている。
そのことを知ってから、外で度々姿を見る猫のことが気になるようになった宮脇さんは、野良のハチワレ猫「ぽんた」を自分で保護し、一緒に暮らすようになる。
本書は、宮脇さんがぽんたと過ごした日々を一冊にまとめたものだ。
「動物との暮らしは永遠のように見えて、そうではない。ぽんたは迎えて2カ月で腎臓病が発覚し、獣医師から長くて余命2年の宣告を受けました。ある意味で、私はぽんたとの終わりを覚悟しながら過ごすことになった。例えばぽんたが遊んでほしそうなとき、どんなに忙しくても『後でね』とは言わずに、少しでもいいからその瞬間に相手をする。一日一日をすごく大切にしていましたね」
命と向き合うということ
ぽんたの病状が進むと、宮脇さんの暮らしはいよいよぽんたを中心に回りはじめる。毎日の通院、介護、文字通り東奔西走しながら、血液検査の数値やぽんたの様態に一喜一憂する日々だ。しかし慌ただしい日々の中にも、幸せや喜びの瞬間はあふれていた。
——仕事以外の外出はできるだけ控え、家ではリビングにパソコンを移動させ、常にぽんたが視界に入る場所で仕事をした。友人からの近況をたずねるメールには「猫の病気が進んで、介護の日々です」と返信した。
介護は大変だが、つらくはなかった。病気が悪化したとはいえ、ぽんたと一緒に過ごせる時間があるのはうれしかったからだ。暑いさなかの通院も苦ではなかったし、「いい天気だね」とぽんたに話しかけ、入道雲が眩しい夏空を仰ぎながら自転車のペダルをこぐひとときは、心地よくさえあった——(本書より抜粋)
「ぽんたとの暮らしで、命を預かる、命と向き合うということを知りました。それまではペットというと、“かわいがるもの”というイメージを抱いていたのですが、彼との日々はそれとは全然違う感覚でした」
時間の長さよりも、どう過ごしたか
ぽんたが旅立った後、宮脇さんは野良猫にゃーにゃと、さらにもう一匹の保護猫を家族に迎え入れている。「もう猫のいない生活は考えられない」と笑う宮脇さんだが、最後に大事なことですと前置きをした上で、こう付け加える。
「大人の猫もいいですよ」
ぽんたも含め、宮脇さんが迎えた時にはすべての子が成猫になっていた。今いるにゃーにゃは、推定9歳だ。子猫に比べると成猫は、一緒にいられる時間は短いかもしれないし、何か病を患っているかもしれない。それでも宮脇さんは、大人の猫に惹かれている。
「時間の長さではなく、猫との向き合い方、関係の築き方こそが、猫との暮らしが幸せかどうかを決めるのだと、ぽんたとの暮らしを通して思いました。過ごす時間は短くても、看護や介護が大変だったとしても、それはそれで、かけがえのない唯一無二の時間になるはずなんです」
猫と生きるということは、決して楽しいことばかりではない。それでも、何物にも変えがたい幸せがそこにはある。
ふたりの愛情あふれる『ハチワレ猫ぽんたと過ごした1114日』、ぜひご覧ください。
また2月より、にゃーにゃともう一匹の猫との暮らしをつづる宮脇灯子さんの新連載「続・猫はニャーとは鳴かない」がsippoにてスタート予定。そちらもお楽しみに。
- 『ハチワレ猫ぽんたと過ごした1114日』を抽選で10名様にプレゼント!
- プレゼントの応募締め切りは1月31日(月)です。宮脇さんからのメッセージカード付きです。以下の[応募はこちら]より応募フォームに飛び、必要事項を記入の上、ご応募ください。
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