3頭のサルがヴェローナ大の実験室からレスキューセンターへ 自由に生活しリハビリも
当会(JAVA)は、多くの海外の動物保護団体と連携して活動を行っています。今回は、協力関係にあるドイツとイタリアの団体から届いたニュース2本をお届けします。
ウサギを使ったパイロジェン試験は5年以内に段階的に廃止<EU>
EUでは毎年35,000〜46,000匹のウサギが、パイロジェン試験に使用される。しかし、35年以上前から動物を利用せずにヒトの血液を用いたより高性能の試験方法があり、2009年には規制当局がそれを承認している。欧州医薬品医療品質部門(EDQM)は今回、5年以内にこのウサギを使った試験を終了すると発表した。
パイロジェンは、ヒトに発熱や敗血症性ショックを誘発する可能性のある汚染物質である。ワクチンや輸液などの生物学的製剤のバッチごとに、この物質の混入の有無を調べる試験が行われる。ウサギを小さな箱に固定し、耳の静脈に試験液を注入するのだ。
その結果、発熱性物質が検出されなかったバッチのみ出荷できる。欧州薬局方ではこの試験に加え、動物を使わずに、ヒトの血液を利用する単球活性化試験(以下「MAT」という)も認めている。MATは1980年代にドイツで開発され、2005年に国際的に検証され、2009年に欧州薬局方に追加された。MATは製品ごとに検証しなければならないため、試験を各製品に適合させる必要はあるが、製薬会社はそれを行うための12年の猶予があったのである。
ドイツの動物実験の即時廃止を支持する医師・科学者の団体Doctors Against Animal Experiments(※)の副理事長であるCorina Gericke獣医学博士は次のように述べている。「パイロジェン試験には動物を使わない方法が長い間存在しているにもかかわらず、いまだに行われている。動物実験というものは不十分でしばしば再現性のない結果しか生み出さない。しかしながら簡単に承認される。その一方で、動物を使わない技術の承認は非常に厳しく、たとえ承認されても、引き続き動物実験も許可されており並行して試験が行われるのである」
残酷で全く必要のない動物実験の終わりがようやく見えてきたが、Gericke博士は「この実験が廃止されるまでの5年間とは、EUで少なくとも175,000匹のウサギのさらなる死を意味する」と懸念している。
(※)ドイツ語名:Ärzte gegen Tierversuche e.V.
出典:Pyrogentest am Kaninchen soll in 5 Jahren auslaufen
3頭のマカクザルが大学の研究室からレスキューセンターに<イタリア>
モデナ大学、パドヴァ大学に続き、ヴェローナ大学もサルの実験を永久に放棄することを決定した。このすばらしい結果は、関係各機関や学術界によってもたらされた。特に、2020年2月に自治体とヴェローナ大学が、研究室で飼育されているマカクザルの全コロニーの解放を定めた合意書に署名したことが大きく貢献した。
2021年6月4日、関係者間の合意により、動物保護団体LAVが動物を生涯にわたって世話をすることができる最も適切な団体として選択された。それにより、実験室のケージの扉がついに開かれ、囚われていた3頭のマカクザルはトスカーナ州グロッセート県センプロニアーノのレスキューセンターに移された。そこで、獣医師や霊長類専門のスタッフによるリハビリテーション・プロジェクトを受けることになる。このプロジェクトには、すでにモデナ大学とパドヴァ大学から移された約50頭のマカクザルと、イタリア国立衛生研究所からの9頭の霊長類が含まれている。
3頭のマカクザルが飼育されることになっているセンプロニアーノセンターにはLAVが用意した巨大なシェルターがあり、彼らは自由に生活し遊ぶことができる。また、霊長類学者が彼らの世話をし、リハビリの指導をする。すでに行われているリハビリテーション・プロジェクトの重要性やその科学的成果は、ボローニャ大学の獣医学部門との共同研究による論文“Evaluation of an enrichment program for a colony of long-tailed macaques (Macaca fascicularis) in a rescue center”として、国際学術誌Primatesに掲載され評価されている。
出典:3 MACAQUES RELEASED FROM THE LABS OF VERONA UNIVERSITY, NOW TAKEN CARE BY LAV!
※上記2つの記事ともにJAVAで翻訳・編集
(次回は1月10日に公開予定です)
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