子犬をしつけるということ しつけ方法とポイントを解説

目次
  1. 子犬のしつけはなぜ必要なのか
  2. 子犬のしつけを始める時期
  3. 家庭内でのしつけ
  4. 子犬のしつけのポイント
  5. 健康診断を受けましょう
  6. まとめ

 ほとんどの子犬は、迎え入れる前に、しつけをされていることはありません。迎え入れてから、飼い主が一からしつけをスタートさせます。子犬のしつけは、簡単なことではありませんが、愛犬との信頼関係を築くチャンスです。正しいしつけ方法とちょっとしたポイントを説明します。

 犬が人の社会で生活していくためには、「社会化教育」を通して様々な状況や人、他の犬などに慣らしておかないと、犬自体が多くのストレスを受けてしまいます。また、飼い主だけでなく様々な人との調和を保つためには、社会で生活するためのルールやマナーを教育する必要があります。

体を触られるのに慣れさせる

 子犬が、飼い主からどこを触られても、嫌がらないようにしましょう。口・唇・足・耳などを触ることが出来ると、爪切りや歯磨き、耳掃除などのケアがスムーズにおこなえます。

 はじめは遊びながら、軽くタッチを繰り返します。子犬が慣れてきたら、触る時間を長くしていきましょう。子犬の頃は抵抗なく触れることが多いですが、ただ触るだけに慣らすのではなく、触ったらご褒美を与えて、子犬にとって触られることが楽しい印象にしておきましょう。

 特に、触られることを嫌がる子犬は少しの時間から練習を開始し、必ずご褒美を与えてよい印象へ変えていきましょう。

社会性を身に付ける

 犬の生後3~12週間を社会化期といいます。この期間は、子犬に他の犬や外の世界を知ってもらう時期です。たとえば、知らない人、大きな音、騒音、自動車、自転車などです。

 子犬のときからこれらに慣れれば、成犬になってから関わることのあるかもしれない人や、バスや電車などの交通機関を問題なく利用することができます。

 しかしワクチンを打ち終わるまでは感染症の危険があるため、クレートやキャリーに入れて外に連れだし、他の犬と直接触れ合ったり地面を歩かせたりすることは避けましょう。

 ワクチン接種が終了したら、様々な人や他の犬と触れ合うことによって社会性を育んでいきましょう。同月齢ぐらいの子犬と触れ合うことも大切なため、パピークラスや幼稚園のような子犬がたくさん集まるしつけ教室などに参加するとよいでしょう。

 子犬は生後8週齢以降に迎えますが、社会化期は生後12週齢ごろまでにピークを迎えるため、子犬のしつけは家に迎えたらすぐに始められるように準備をしておきましょう。新しい環境に慣らすためにも無理はせず、少しずつ様々な経験をさせて慣らしていきます。

子犬に少しずつ様々な経験をさせて慣らしましょう

 子犬を家に迎えたら、家庭内のルールをしつけましょう。

 子犬をしつけるために重要なことは、飼い主自身が犬の習性に配慮した生活環境や関わり方を学ぶことです。犬の習性を理解せず、人の都合でしつけようとしても、トイレが覚えられない、無駄ぼえ、かみつき、ものを壊すなどの問題行動の原因になってしまいます。

 飼い主が知るべき犬の習性を踏まえ、子犬に覚えてもらいたい家庭内のしつけは、主に次のものがあります。

トイレトレーニング

 犬は一般的に、自分の寝床を汚さないように寝床から離れた場所で排泄(はいせつ)をする習性があるため、寝床とトイレの場所を明確に分け、離れた場所に設置する必要があります。

 また、土の上など柔らかいところで排泄をする習性があり、トイレのしつけが完全ではない場合は、カーペットなどで排泄を失敗してしまうことがあります。クッション性と撥水(はっすい)性があり、洗浄しやすいフロアマットなどの床材を使用します。

 子犬が排尿を我慢できる時間は、「月齢+1時間」程度であるため、飼い主の就寝時や外出時などは子犬が自発的に排泄できる環境を整えなければいけません。寝床とトイレをサークルで囲った環境を用意するなど、飼い主の目が届かないときは行動の制限をすることで失敗を予防する必要があります。

 「ご飯や水を飲んだ後」、「寝起き」、「運動(興奮)した後」、「おおよその決まった時間帯」などのタイミングで子犬は排泄をしやすいため、これらのタイミングの際にシーツの上などで排泄を済ませることで失敗を予防することができます。

 排泄を失敗してしまった場合は、叱ったり声をかけたりせず、落ち着いて排泄物を処理することが望ましいでしょう。

 失敗した際の排泄物の処理に関しては、完全に臭いを取り去る必要があります。犬は自分の排泄物の臭いによって排泄が誘発されるため、臭いが残っているとそこで排泄を繰り返してしまいます。犬の嗅覚(きゅうかく)は人間のそれをはるかに上回り、人にとっては臭いが消えたように感じても、犬が嗅ぎ取れる臭いが残ってしまうことがよくあります。

 排泄物を取り去った後、食器用洗剤や界面活性剤が入っている洗浄剤などで十分に洗浄し、その上から消臭スプレーをかけることで十分に臭いを取り去ることができます。

食事時のルールをつくる

 子犬の頃は消化能力が未発達なため、ドッグフードをふやかしたら回数を分けて与えるようにします。しかし、犬は一度に食事を食べるよりも回数を分けて食べたほうが満足度も高く、消化吸収が良くなったり肥満防止につながったりするので、成犬になってからも知育玩具で与えたり、しつけのご褒美として与えたりすることで回数を分けましょう。

 子犬の頃は、器だけでなく知育玩具などで与えるとかんで遊びたい欲求を同時に満たすことができます。また、手から与える習慣を持つと、人の手を甘がみする頻度も減ります。

家に子犬を迎えたら家庭でのルールをしつけましょう

甘がみをさせない

 子犬の甘がみの原因は、「犬同士はお互いの体をかんで遊ぶ」、「子犬の頃は初めて見たものを口に入れて確認する」といった習性が関係しています。

 犬は狩りを模倣して遊ぶため、飼い主が子犬の前で手を左右に動かして、おもちゃ代わりにしていると、子犬は「手をかんで遊んでもよい」と勘違いし、かんでしまいます。必ずおもちゃで遊ぶようにして、人との遊び方のルールを教えてあげましょう。

 また、特に子犬の頃はかんで遊びたいという欲求が強いため、十分に遊んであげないとストレスがたまってしまい、家具などをかむことでストレスを解消しようとします。そのため、散歩で一緒に歩くだけでなく、おもちゃを使って飼い主が十分に子犬とたくさん遊んであげることが甘がみの予防には効果的です。

子犬の頃はかんで遊びたいという欲求が強いといわれます

 子犬にとって歯の生え変わり時期は歯がむずむずして、何かをかみたくなったり、初めて見たものをかんで確認したりしようとします。家具など色々なものをかんで傷つけてしまうことがあるため、かまれると危険だったり困ったりするものは、子犬の届かない所に置く、柵などを使用して近づけないようにする、などの対策をしましょう。

名前を呼んだら注目する

 飼い主と犬の絆を深めるため、名前を呼んだら飼い主へ注目する練習は非常に大切です。

 犬は、飼い主への期待が高ければ高いほど、注目する頻度も高くなります。期待感を高めるためにも、子犬のころから名前を呼んで少しでも意識を向けてくれたら褒めてご褒美をあげましょう。

 意識を向けるようになれば、散歩中の引っ張りや拾い食いが予防でき、呼び戻しもスムーズにできるようになります。

 子犬のしつけには、三つのポイントがあります。

  1. 繰り返す

    犬の習性に配慮した環境設定と接し方を心掛け、飼い主にとっても望ましい行動を子犬が習慣化できるように対応しましょう。

  2. 一貫性をもつ

    犬には「時と場合」というあいまいなことが理解できません。飼い主の気分によって接し方を変えることなく、一貫した決まりやルールをもって接しましょう。

  3. ご褒美

    しつけに対して、上手に出来たら大げさなほどに褒めましょう。褒めることで子犬のやる気につながります。

 子犬を迎えたら、健康診断を受けましょう。子犬の時期は、病気への免疫が出来ていません。動物病院へ行くときは、他の動物との接触を避け、キャリーバッグに入れるなどの対策をしてください。

 子犬を迎え入れてすぐに、遺伝性疾患や感染症が見つかることもあるので、子犬の便を持参すると良いでしょう。子犬への混合ワクチン接種は生後6週ごろから始まり、複数回あります。

 子犬へのしつけは、子犬にとって楽しいよう、無理なく進めてください。子犬のしつけは、簡単ではありませんが、辛抱強く、ゆっくりと行いましょう。

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監修者:鹿野正顕先生
スタディ・ドッグ・スクール代表、学術博士。 麻布大学にて人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。
sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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