「何してる?」「起きた~」 留守番中の犬や猫とLINEで“会話”NECが開発中
お留守番しているワンちゃん、ネコちゃんとLINEで会話できたら――なんて思うことはありませんか? ドラえもんのひみつ道具のような話が、NECが人工知能(AI)を使って開発中のサービス「waneco talk」(ワネコ・トーク)で実現するかもしれません。
おじいちゃん猫のつぶやき
NECに務める新見景(しんみ・けい)さん(41)の愛猫は、16歳のオスだ。人間の年齢でいうと、80歳のおじいちゃん。就職した年、生まれたばかりの保護猫を引き取り、「きゅうたろう」と名付けた。
新見さんときゅうたろうは、LINEを使って簡単な会話ができる。留守中に「何してる?」とメッセージを送ると、いつもは「ねむねむ…」「寝てる」という返事ばかり。それが、登壇することになっている「waneco talk」の記者発表当日は、違った。
通勤電車に乗っていると、きゅうたろうからメッセージが届いた。
「いくぞ!」
「おじいちゃんネコだから、ふだんは寝ていることが多いんです。ところが、その日の朝だけ、『いくぞ!』ですからね。奇跡ですよ。システム的に条件が一致しただけかもしれないけど、感動しました」(新見さん)
振る舞いがAIで言葉に
職場はAI・アナリティクス事業部の環境分析事業推進室。NECが力を入れるAI技術開発の一翼を担う。waneco talkもAIを使ったサービスだ。首輪につけた500円玉ほどの大きさのセンサーで、ペットの動きを計測する。その動きがどんな振る舞いなのか、AIが判断し、飼い主のLINEにメッセージを送信する仕組みだ。
センサーは、日本動物高度医療センター(本社・川崎市)が開発した「PLUS CYCLE」(プラスサイクル)を使っている。犬猫の活動量、ジャンプの回数、休息時間をはかる。そのデータをNECが最先端のAI技術群「NEC the WISE」で解析。犬猫の振る舞いのデータを短い言葉に置き換えている。
データは多いほど、メッセージの精度が向上する。いまは実証実験中で、社内に呼びかけて100匹ほどの犬猫からデータを集めている。言葉のバリエーションは現段階で約200通り。精度向上に合わせて言葉を増やすという。8月から一般向けにサービスの提供を始める予定だ。
これまでの分析から、犬は大型と小型で個体による差があまりないことがわかってきた。ところが、猫はそもそも動かない時間が長く、動くときは突然大きく動く。このためデータを取りづらく、目下の課題なのだとか。
サロンで異常を早期に発見
NECがペットのデータ収集・解析にこだわるのは、LINEによる癒やし体験の先に、愛玩動物コミュニケーションプラットフォーム「waneco」の構築を見据えているからだ。環境分析事業推進室シニアエキスパートの佐藤優理さんは、「waneco talkはプラットフォームにのせるサービスの第1弾。データがたまるほど色々な分析ができ、連携先が増えるほど、できることも増えます」と話す。
たとえば、ペットサロンや動物病院と連携して、犬猫のデータを画像も含めて蓄積し、専門家の意見を聞きながらAIで分析する。血統種や性別、年齢別に様々な傾向がわかるようになれば、来院したペットサロンで異常に気づき、早期の治療につなげられる。
ほかにも、複数の犬を飼っている家で、新しく保護犬を迎える場合、先輩犬との相性はどうか、といった研究も進む。「ツンデレの性格の犬には甘えん坊の犬がいいとか、統計的な分析をしています。wanecoによって、幸せな子が増えてほしい」と佐藤さん。NECは今後5年間で、国内で飼育されている犬猫の約3分の1、600万匹の登録をめざしている。
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