ゴールデンレトリバーの「あるある」に共感! 笑って泣ける『エフ漫画』新刊発売

ゴールデンレトリバー「エフ」
本書の主人公、ゴールデンレトリバー「エフ」(efrinmanさん提供)

 13年間ともに暮らしたゴールデンレトリバーのエフとの別れをきっかけに、漫画を描き始めたefrinmanさん。インスタグラムやブログで公開すると、そのいたずらやおちゃめな様子が、愛犬家たちから「あるある」と共感を集めて話題になった。

(末尾に写真特集があります)

 2020年に『ゴールデンレトリバーのエフとコメとの楽しい暮らし』として刊行すると、たちまち5万部を突破。今年1月には、その第2弾となる『ゴールデンレトリバーのエフとコメとのもっと楽しい暮らし』が発売された。

書籍『ゴールデンレトリバーのエフとコメとの楽しい暮らし』『ゴールデンレトリバーのエフとコメとのもっと楽しい暮らし』
第一弾『ゴールデンレトリバーのエフとコメとの楽しい暮らし』(左)と、第二弾『ゴールデンレトリバーのエフとコメとのもっと楽しい暮らし』(右)(講談社)

エフの思い出を記録に残したい

 作者のefrinmanさん夫妻がエフを迎えたのは2004年の春。彼女との日常をブログやインスタグラムに公開するなかで、犬のイラストも折に触れ描いてきたが、漫画を描き始めたのは、エフを13歳3カ月で見送り2カ月ほど経ってからだった。

「家のなかでも、外を歩いていても、エフの姿があるように思えて仕方がなかったんです。でも、現実にはいない。頭のなかから楽しかった思い出があふれてきて、忘れないように描き留めておきたいと思いました」

 エフが旅立って初めて描いたのは、盗み食いのエピソードだった。

「キッチンに立つたび、盗もうとするひとが横にいないことを痛感するんです。上手にできた黒胡椒シュウマイ10個を写真に収めようと、携帯を取りに行ってくる間にエフが完食してしまい、真っ青になったエピソードとか、私の大好物いくらおにぎりを食べてしまったこととか。言葉で表現しきれないことを漫画として記録しようと思いました」

キッチンカウンターに手をかけ立つゴールデンレトリーバ-
エフはよくこうしてキッチンの上を物色していたとか(efrinmanさん提供)

 読者から「うちも食べられた!」と多くの声が寄せられた。高級和牛をたいらげられたという話もあり、「みんなやられているんだな」と楽しい気持ちになったという。

 漫画を描くことで寂しさは薄らぎ、よりいっそうエフをいとおしく感じるようになった。

憧れの大型犬の実態

 efrinmanさんとご主人のef夫さんは、ともに子どものころから犬がいる環境で育ち、いずれ迎えたいという気持ちで一致していた。どっしりとして人懐こく、おおらかな魅力にひかれ、ゴールデンレトリバーを迎えた。

「大きいのでよく食べるし、よく出すし、よく汚すし。食費や消耗品に加え、医療費もかかるので、経済的負担は大きいですね。スペースも取るので狭い家では大変です(苦笑)。でも、エフもコメも本当に優しくて賢くていい子なんですよ」と、飼い主バカを自覚しつつefrinmanさんは笑う。

 賢く感受性豊かなエフのエピソードはもりだくさん。人間の言葉を聞き分け、大好きな「散歩」には目を輝かせるが、苦手の「シャンプー」を耳にするとテコでも動かない。人間の険悪な空気を察すると、ひとり静かに吐いてしまうこともあった。

 その一方、広量な姿に幾度となく救われた。

 吠えかかってくる小型犬の飼い主から「大きいわんちゃん、こわいわね~」と皮肉を言われ、ムッとした飼い主に、エフはごきげんな笑顔を向ける。

「一切心に乱れなし。素晴らしい。こうありたい」

 efrinmanさんはエフを「師匠」と仰ぐ。

ゴールデンレトリーバ-エフと飼い主さん
師匠エフの言葉を聞くefrinmanさん(efrinmanさん提供)

恩返しの気持ちでエフを見送る

 年老いたエフは動きがゆるやかになり、できないことが増えていく。

「大型犬と暮らす友達が、迷いながらも立派に看取る姿を見ていました。私もきちんと見送りたいと覚悟をしていましたが、『エフがいなくなったらどうしよう』と、8歳を過ぎたころから不安で仕方がありませんでした」

 日に日に体力が衰え、寝たままの時間が増えたエフは腎不全の末期状態に。一時の急変から、再び立ち上がり自力で階段をのぼるまで回復したのち、体力のすべてを使い果たしたかのごとく旅立った。

抱きかかえられるゴールデンレトリーバ-エフ
晩年は車の乗り降りも抱っこで(efrinmanさん提供)

「いよいよかというときに、先輩飼い主の『恩返し』という言葉が頭によみがえりました。これだけ楽しませ、助けてくれたエフに『いまこそ恩返しのときだ』と思ったんです。痛くないよう苦しくないよう、できる限りのことをして見送ろうと思いました」

 大往生を見届けたefrinmanさんに、まったく悔いは残らなかったという。

「もちろん寂しさはありましたけど、これならまた看取ることができると思えました。そんな心境になれたことに自分でもびっくりです」

個性の異なるコメとの暮らし

 エフを見送った翌年にコメを迎えた。同じ犬種でも性格が異なるという。

「子犬時代に階段のすべり止めを全部はがしたことはありますが、エフと違って慎重で、初めて食べるものは一度口から出して確認するんです。あと、盗み食いをしないことに驚き、病気なのかと心配しました(笑)。性格は全然違いますけど、そこが面白いですね」

抱きかかえられるゴールデンレトリーバ-エフ
2代目の愛犬「コメ」の幼少期(efrinmanさん提供)

 エフとそっくりな部分もある。優しくて人が大好き。自宅ベランダの穴から顔を出し、道行く人に挨拶をする背中は生き写しのようだ。

 ペットロスを憂慮したり、新たな犬を迎えることをためらう人々に、efrinmanさんは漫画を通して背中を押す。

「大切な存在をなくすと、同じ思いをしたくないという恐怖心が生まれますよね。犬と暮らすことは必ず看取りに直面しますが、過剰に恐れたり悲観しないでほしいなと思います。見送るつらさは避けられませんが、それ以上に、はかりしれない幸せな時間をもらえます。もしその時が来たら、感謝しながらしっかり見送ってほしい。2匹目を迎えることに罪悪感を持つ必要もないし、犬との楽しい暮らしが続くこと、新たな魅力に出会えることが伝わるといいなと思います」

 1日1日を楽しく過ごし、幸せな生涯をまっとうした先には、「犬と暮らすっていいな」と思える希望を飼い主に与えてくれる。そのことをエフたちは教えてくれるのだ。

efrinmanさんのInstagram
エフ漫画 ゴールデンレトリバーのエフとコメとのもっと楽しい暮らし
著者:efrinman
出版社:講談社
サイズ:A5判/128ページ
価格:1,200円+税

久保田綾
八ヶ岳山麓で虫やカエルを愛でながら育つ。早稲田大学卒業後、日刊スポーツ新聞社、角川書店でスポーツ記者、編集者として勤務したのち独立。2010年、自宅の庭に現れた子猫(もこにゃん)を保護してからは、本業に支障が出ない程度に働くフリーライターとして糊口をしのぐ。本業は猫の下僕。

sippoのおすすめ企画

sippoの投稿企画リニューアル! あなたとペットのストーリー教えてください

「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!

Follow Us!
編集部のイチオシ記事を、毎週金曜日に
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。


動物病院検索

全国に約9300ある動物病院の基礎データに加え、sippoの独自調査で回答があった約1400病院の診療実績、料金など詳細なデータを無料で検索・閲覧できます。