2匹の自由奔放な猫がいる会社 500坪のフロアでのびのび

 広いフロアに2匹の猫がいる。PCの横で寝たり、窓辺で昼寝をしたり、爪研ぎで爪を研いだり、その姿はとても自由…。社員と猫があたりまえのように“共生”しているIT系ベンチャー企業を紹介する。取材の後、新型コロナ感染予防で社員はテレワークになったため、最近の猫たちの様子も聞いてみた。

(末尾に写真特集があります)

秋田からやってきた猫

 東京都品川区西五反田のビル3階に、ハウスクリーニングや家事代行、リフォームなどがネットで比較して依頼できるサービス(くらしのマーケット)を提供する「みんなのマーケット株式会社」の本社がある。約500坪の広いフロアに従業員が約100人、そして、キジ模様の猫が2匹。

「オスがDjango(ジャンゴ)、メスがC(シー)ちゃんです。7歳になる兄妹ですが、この子たちは僕のペットであり、みんなのペットです」

代表取締役の浜野さんとシーちゃん、ジャンゴ(小林郁人撮影)

 代表取締役の浜野勇介さんが、オフィスで2匹を紹介してくれた。パソコンの側であくびをしたり、かと思うと床に下りて遠くまでトコトコ歩いていったり、自由奔放。

 浜野さんが会社に2匹を迎えたのは2013年の年末だった。CTO(最高技術責任者)が新幹線で秋田から連れてきたのだという。

「創業から2年経った頃、CTOの戸澤さんの実家の近くで子猫が6匹生まれたんですが、飼い主が見つからなかったら保健所にいくという話を聞いて、『じゃあもらおうよ!』と名乗り出ました。直前に地元で3匹の引き取り手が見つかり、実際にもらったのは3匹でした」

幼い頃の2匹(みんなのマーケット提供)

 2匹を会社で迎え、残る1匹は浜野さんの母親が実家で飼うことになった。当時のオフィスは今より狭い場所だったが、社員みんなで幼い猫を懸命に育てた。会社が大きくなるのに合わせて2度引っ越しをし、昨年3月、猫と共に現在のオフィスに移ってきた。

「オフィスの不動産契約書にはジャンゴとシーちゃんの写真を貼り、『この2匹以外は飼わない』という約束を交わしました。不動産契約書に猫の写真って珍しいですよね(笑)」

猫のために特製トイレ

 オフィス内はコーポレート本部、マーケティング本部、コンサルティング本部、テクノロジー本部と4部署に分かれている。普段の猫のお世話は、餌場とトイレが近いコーポレート本部が担当するが、朝早く出社したり、猫のことを気にかけている他の部署の社員が面倒を見ることもある。ルールはほとんどないが、おやつは「NG」らしい。

「一時期、自由におやつを社員があげていたら、太ってしまって。でも今も隠れてあげている人がいるかもなあ(笑)、また太ってきた気がする」と浜野さん。

 大柄なジャンゴが、ついておいで、というように歩いていく。後を追ってオフィスの奥にいくと、お皿や給水器、そして、空気清浄機の横に変わったトイレがふたつ置いてあった。浜野さんのアイデアで、園芸用のビニールを改良して猫トイレにかぶせた“特製”だという。

 社員に聞くと、「仕事中にうんちをしてもビニールのお陰でほぼ臭わない」と好評だ。

園芸用ビニールと組み合わせた特製トイレ(小林郁人撮影)

 社員の間で、アレルギーなどの問題などは起きないのだろうか?

「会社に猫がいることを知って応募する人も多いし、スペースが広いので問題はないですね。会議室は、アレルギーの社外の人が来るかもしれないので猫は入れませんが、会議中にガラスの向こうを猫が歩くと、え?と驚いたり笑ったりしていますよ」

テクノロジー本部のみそさんはシーちゃんと相思相愛、デスク脇に箱がある

 浜野さんによれば、エンジニアなど集中して作業することが多い社員は、“集中力が切れたりした時”に席を立って猫を探してなでてリフレッシュして、デスクに戻ることもよくあるという。猫に癒やされている社員はかなりいるようだ。

猫に癒やされる社員たち

 猫について、社員の話を聞いてみた。

 コーポレート本部の小滝さん(24)は2年前の4月「猫がきっかけ」で入社した。

「事業内容もいいと思っていたのですが、猫が好きで “猫”“会社”で会社がヒットしたので、心をときめかせて応募したんです」

 小滝さんは日々2匹と触れあい、よく観察もしている。

「ジャンゴもシーちゃんもお気にいりの寝場所がいくつかあり、社内をよく探検しています。ジャンゴはおっとりさんで、シーちゃんは特定の社員とくっつきますね。社内にはいろいろな人がいますが、好きでない人には猫も近づかない。ここでは猫と人が“フラットな関係”でごく自然な感じで共存しているんです」

夢中で遊ぶジャンゴと小滝さん(小林郁人撮影)

 小滝さんは自宅でも猫を飼っていたため、猫のいたずらや習性もよくチェックしている。ジャンゴは輪ゴムが好きなので、帰宅する時には、ゴムや危ないものをふたがきっちり閉まる缶にいれてからデスクの引き出しにしまうそうだ。

自粛の今も、健康ケアはみんなで

 猫の健康に気をつけるのは社員の役目だ。

 昨年秋、ジャンゴの足の付け根が少し脱毛した。社員がなでている時に気づき、すぐに『内ももがはげている』とスラックで社内共有。病院に連れていって皮膚炎の薬をもらい、改善したという。

「ジャンゴがドライフードで(水分不足で便が固くなり)痔になりかけた時も、『おしりが赤い』『フードを変えた方がいいかな』など情報をスラックで共有して、ウェットフードを少し増やすようにして良くなりました」

普段の日々が早く戻りますように…(小林郁人撮影)

 取材は今年2月にしていたのだが、新型コロナウイルスの感染予防のため、みんなのマーケットも3月末から基本的にテレワークとなった。

 2匹はどうしているのか。

 あらためて小滝さんに聞くと、「元気にしている」という。

「会社の近所に住む社員も多いので、有志が交代でお世話にいっています。みんなの協力によってジャンゴもシーちゃんも元気にしてくれていますが、たくさんの人が会社にいる環境が変わって人恋しいのかもしれませんね。会いにいくと甘えます…。早く普段の生活に戻したいですね」

藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は16歳の黒猫イヌオと、2歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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