災害救助犬育成に励む日々 「災害時、いち早く人命救助を」
嗅覚(きゅうかく)をたよりに被災地で行方不明者を捜す災害救助犬の育成に、「栗東ドッグスクール」(滋賀県竜王町)のドッグトレーナー高畑伊津香さん(54)が取り組んでいる。熊本地震や西日本豪雨では現場に出動。今は一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)の認定試験に合格した1匹、見習いの3匹と訓練に励む日々だ。
3月7日、倒壊家屋にみたてたブロック塀や鉄パイプなどが山のように積んである兵庫県伊丹市の訓練場。高畑さんら訓練士3人とボーダーコリーやコーギーなど犬5匹の姿があった。
「捜せ!」。高畑さんの命令で、ラブラドルレトリバーのヒナ(雌、8歳)ががれきの山を登っていく。足元を選びながら小走りで進み、がれきの下に埋まった人を見つけると、しっぽを振り何度もほえた。
災害救助犬は、災害現場で行方不明の人を優れた嗅覚を使って捜し出す。訓練士の指示に落ち着いて従い、足元が悪い中でも怖がらない犬が向いているという。
現場で知った、捜索の難しさ
嘱託警察犬などの訓練士だった高畑さんが災害救助犬に注目したのは、1995年の阪神大震災だ。海外からやって来て被災地で活躍する救助犬をテレビや新聞で知り、国内での普及が必要だと感じた。知人のドッグトレーナーにも誘われ、翌年から救助犬の育成を始め、これまでに8匹が認定試験に合格した。
2016年の熊本地震では、被災した熊本県益城町や南阿蘇村に3日間出動。18年の西日本豪雨では、広島市の土砂災害の現場で捜索に加わった。水害の現場では行方不明者のにおいが薄まり、一段と捜索が難しいことを知った。
現在は認定試験に合格したヒナと見習い3匹を育てる。4匹はまだ出動経験がなく、被災地の疑似訓練が大切だ。普段は竜王町で服従などの訓練をし、月に2回はがれきなどの練習環境がある関西の訓練場を訪れる。
JKCによると、県内ではこれまでに68匹が救助犬の認定試験に合格している。ただ、県は災害時に救助犬の出動を要請する協定を別の育成団体と締結し、JKCとは結んでいない。高畑さんは「県内で災害が起きた時にこの犬たちがいち早く現場で人命救助にあたれるよう、県や消防などと日ごろから連携を深めたい」と話す。
(北川サイラ)
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