愛犬を清潔に保ち、病気も予防 ブラッシング・シャンプーのコツ

 きれいな毛並みは犬の魅力のひとつ。日々ブラッシングやシャンプーでお手入れするのは、美しく清潔に保つだけでなく、手で直接触れることで病気の発見にもつながります。歩くのに大切な肉球もケアが必要です。愛犬にストレスを感じさせない上手なお手入れの仕方をご紹介します。(監修:若山正之獣医師、「まるごとわかる犬種大図鑑」より)

犬を寝かせてブラッシング
犬を寝かせてブラッシング

犬のブラッシング、血行を良くするマッサージ効果も

 ブラッシングは被毛の美しさを保つだけではなく、マッサージ効果で皮膚の血行をよくし、新陳代謝を促す効果もあります。ブラッシングをおこたると、抜け毛がいつまでも体に付着したままになってしまい、毛玉などができやすくなりますし、皮膚病の原因にもなります。長毛種は2日に1回、短毛種も週に1〜2回を目安に行いましょう。

◇犬のブラッシングはやさしく!

 ブラッシングはやさしく、力を入れずに行うのが基本。乱暴なブラッシングは皮膚を傷つけてしまい、犬がブラッシングを嫌いになってしまう恐れがあります。

◇犬を床に寝かせてブラッシング

 抜け毛をお掃除しやすくするために、床にタオルなどを敷いてブラッシングをします。頭や背中など、触られることに慣れている所から始めるといいでしょう。

犬をだっこしてブラッシング
犬をだっこしてブラッシング

◇犬を抱っこしてブラッシング

 だっこをしてブラッシングするのもお勧め。お腹周りなど、敏感な部分をブラッシングするときは、だっこすることで犬が落ち着くこともあります。

犬のシャンプー、手で触れて体調もチェック

 シャンプーはトリミングサロンに任せてしまいがちです。成犬のうちはそれでも大丈夫ですが、老犬になったときには、サロン通いをストレスに感じる犬もいます。今のうちに自宅でシャンプーをできるようにしましょう。また、シャンプーをしながら犬の体に触ることで、犬の痛がる場所を見つけられ、病気の発見につながる利点もあります。

犬のシャンプーも自宅でできる
犬のシャンプーも自宅でできる

 犬がシャンプーに嫌なイメージをもってしまうと、次からは逃げられてしまいます。犬が進んでシャンプーをさせてくれるように、ポイントをおさえておきましょう。

◇シャワーヘッドを密着させ犬の全身をぬらす

 まずは全身をぬらしましょう。お湯の温度は少しぬるめがベストです。シャワーヘッドを直接体につけるようにして、毛の根元まで湿らせます。

シャワーが犬の目や耳に入らないように注意
シャワーが犬の目や耳に入らないように注意

◇犬の頭へのシャワーは水流を弱めに

 目や耳にお湯が入ると、犬は強い拒否反応を示します。頭の周りは、水流を少し弱めにして、水の向きにも注意しながらぬらすとよいでしょう。

◇泡状にしたシャンプーを犬の全身にしみこませる

 全体がぬれたら、事前に泡立てておいたシャンプーをつけます。ツメを立てずに、指の腹を使って洗いましょう。顔周りや足なども忘れずに。

◇犬の体についたシャンプーをしっかりと洗い流す

 全身をしっかりと洗ったら、ぬるま湯で洗い流します。シャンプーが残ったままだと、皮膚によくないので、時間をかけて念入りに行います。

◇犬の頭から体の順にタオルで手早く拭く

 犬は頭がぬれた状態を嫌がります。そのため、まずは頭→体の順に拭きましょう。タオルは吸水性の高いスイムタオルがすばやく拭けるのでお勧め。

犬へのドライヤーは冷風で
犬へのドライヤーは冷風で

◇ドライヤーを使うなら“冷風”で!

 犬は熱さに敏感なので、ドライヤーは冷風を使用します。また、皮膚炎がある場合はドライヤーの使用自体が厳禁。症状が悪化することも。

犬の肉球は洗って保湿を 水分不足でひび割れ、出血も

 肉球が痛むと歩行が困難になり、大好きな散歩ができなくなります。マッサージをしたり、保湿クリームを塗ったりしてケアしましょう。

ぬるま湯につけて犬の肉球をやさしくもみ洗い
ぬるま湯につけて犬の肉球をやさしくもみ洗い

 肉球が傷んで散歩に出られなくなると、体力が低下したり、ストレスがたまったりしてしまいます。理想的な肉球は、やわらかく、湿った状態。これが乾燥して固くなってしまうと、ひび割れて出血することもあります。まずは肉球を定期的に洗って清潔に保ち、さらに保湿クリームなども併用して、潤いのある肉球を維持してあげましょう。

◇犬の肉球のお手入れの手順

 犬は手足だけを持たれることを嫌がるため、肉球を洗うときには、抱きかかえて行いましょう。犬が落ち着いてから、以下の手順で肉球を洗っていきます。

◇犬の足先をぬるま湯にひたす

 洗面器にぬるま湯をため、そこに犬の足をひたします。肉球に水分が染み込み、やわらかくなったら、やさしくもみ洗いします。

犬の肉球の間もきれいに
犬の肉球の間もきれいに

◇犬の肉球の間もキレイに洗う

 表面だけでなく、肉球の間もしっかりチェック。ゴミや汚れなどがたまっている場合があるのでひとつひとつ確認しましょう。

◇タオルでしっかりと拭く

 洗ったあとはタオルでしっかりと拭きます。とくに肉球の間は蒸れやすく、雑菌がたまりやすいので念入りに拭きましょう。

肉球はタオルで念入りに拭く
肉球はタオルで念入りに拭く

◇仕上げにクリームで保護

 人間の肌と同様に、犬の肉球も洗ったあとは、油分が失われてしまいます。乾燥すると、ひび割れが起こりやすくなり、出血することも。洗ったあとは、市販の肉球用保湿クリームを塗り、やさしくマッサージをしてあげましょう。

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「まるごとわかる犬種大図鑑」
監修:若山正之/写真:藤原尚太郎
発行:学研プラス
判型:A5、242ページ
定価:1500円+税

監修:若山正之
獣医師。若山動物病院(千葉県佐倉市)院長。犬や猫のヘルススパンを延ばす的確な診断とアドバイスに定評があり、寝たきりや認知症になった犬の介護などに、独自のノウハウを持つ。

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