青森とペット保険会社が協定 犬猫の殺処分数減や災害対策で連携
飼い主のやむを得ない事情や望まぬ繁殖で処分される犬や猫を減らそうと、青森県とペット向け医療保険を販売する「アイペット損害保険」(東京都)が連携協定を結んだ。同社は、新たな飼い主が見つかるまで犬や猫を預かるボランティア制度や、災害時にペットも連れて行ける避難所マップ作りを通して、人と動物が共生できる社会に向けて県と連携する。
同社は今後、県動物愛護センターに収容しきれなかった犬や猫を一時的に預かる家庭や企業を、顧客などの情報網を生かして募り、処分される動物を減らす取り組みを進める。
また、処分につながりかねない繁殖を防ぐ不妊や去勢手術の重要性の周知や、動物の命を大切にする子どもたちの気持ちを育む同センターの活動に協力する。さらにペットも受け入れ可能な避難所を示す地図を作り、ネットでの公開を目指すという。
県との締結式に臨んだ同社の山村鉄平社長は「海外ではペットを人間同様に扱う国もある一方、飼っていない人もいる。互いに理解してペットと共生できる環境作りが重要だと思う」と意気込みを語った。
県が動物愛護をめぐって企業と提携するのは初めて。背景には、同センターに引き取られた犬や猫を待つ厳しい現実がある。県保健衛生課によると、2018年度、新たな飼い主が見つからず処分された犬は137匹。猫は765匹に達する。
10年前と比べると、犬の処分数は10分の1近くに、猫は3分の1以下に減ったが、ここ数年は下げ止まり傾向にあるという。特に県内では放し飼いの猫や野良猫が多く、県の計画が23年度までの目標とする701匹には届いていない。そこで「動物愛護を目的にした都道府県と企業の包括的な協定は聞いたことがない」とする提携に踏みきった。柏木司副知事も締結式で「計画推進のために協力いただけることは心強い」と期待する。
両者の協定が実現したのは青森市内に06年、同社が契約業務などを担う事務センターを開設していたため。業務の拡大に伴って、現在は従業員200人以上を抱える同社最大の国内拠点に成長した。同社の有岡正裕執行役員は「いまや青森は会社の心臓部。育ててくれた青森県に恩返ししたい」と話した。
(林義則)
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