台風19号で猫と同行避難 やっておいて&おけばよかったこと

ハーネス&リードは、避難所でも役立ちました
ハーネス&リードは、避難所でも役立ちました

 2019年10月12日。台風19号が迫る中、生まれて初めての避難は、猫といっしょに避難所に向かう「同行避難」となりました。いざ避難するとき、日頃からやっておいてよかったと感じたこともあれば、やっておけばよかったという後悔もありました。

(末尾に写真特集があります)

 東京都内の水害が起きやすいとされている地域にあるわが家は、河川が氾濫すれば水没する恐れがありました。ストレスに弱い猫や子供を連れて、本当に避難するのか。迷いはありましたが、「避難準備」の発令で覚悟を決め、家族と猫とともに避難所へ向かいました。この日のために備えておいてよかったポイントをまとめます。

(1)猫の避難用品を試しておく

 自分が本当に避難することを考えたときに「何」を持ち出すかだけではなく、具体的に「どんな」ものがいいかに迷いがあり、同じ悩みを抱える方もいるのでは?と感じました。

 そこで、台風上陸の2日前、東京猫医療センターの服部幸先生にご協力いただき、猫用の避難用品の情報をまとめて発信。Twitterでは1万5000RTされ、「これを見て準備する」という声も多数いただきました。

 迷った点とは、たとえば食事や水の器です。シリコン製の折りたたみの器など便利ですが、少しでも荷物を軽くするために深めの紙皿(裏にテープを貼って固定)で代用することにしました。

 また、慣れない環境で猫たちの食欲や飲水量が落ちることを考えて、栄養も水分もとれる総合栄養食のウエットタイプのおやつを用意。ふだん使いの鉱物系の猫砂は重いので、できるだけ粒が小さい軽量のタイプを2分の1袋分持って行きました。

 これらはすべて事前に試しておき、避難所でも同様に活用することができました。

食事のシミュレーション。ラップの上にフードをのせれば紙の器でも洗わず繰り返し使える
食事のシミュレーション。ラップの上にフードをのせれば紙の器でも洗わず繰り返し使える

(2)キャリーケースを猫ベッドとして使う

「いざ避難するそのときに、スムーズにキャリーケースに入ってもらえるのか」のは、警戒心の強い猫の飼い主さんにとって大きな課題でしょう。

 まさに愛猫の1匹が“察しがいい”タイプ。動物病院へ連れていく日はスキンシップをしたり、やさしい声をかけたり、猫の様子を見ながらうまいこと捕獲へと誘導するのですが、災害時は猫のペースに合わせる時間的な余裕がありません。

 しかし、通院ではあまり使っていない、ふだん扉を開けたまま室内に置いている大きいキャリーケースが役立ってくれました。

 2匹が寄り添って寝ていたので、その隙にそっと扉を閉めてまとめて捕獲。避難前にたまたま入ってくれていたのはラッキーでしたが、キャリーケースを家の中に複数個ベッド代わりに置いておき、「安心できる場所にしておく」ことは、やっておいてよかったです。

実際に避難に使ったキャリーケース。自宅に戻っても怖がらず入ってくれました
実際に避難に使ったキャリーケース。自宅に戻っても怖がらず入ってくれました

(3)ハーネス+リードに慣れさせる

 私の避難先では、「できればリードを付けてほしい」と求められました。災害に備えて猫用のハーネスとリードは用意していましたが、散歩の習慣はありません。慣れさせるために、「たまに付けておく」ようにしていました。

 頻度は決めていませんが、自宅ではとくに過去に大きな災害があった日など、自分の防災意識が高まるときに。最近は動物病院の受診でも、付けていきました。

 付けてくれたら「いい印象」を持ってもらうために、おやつを。このような事前のトレーニングは猫がハーネスに慣れるだけではなく、飼い主が付け慣れておく意味でも役立ちました。

 ちなみに避難所へは、キャリーケースとは別に、猫が中で過ごすためのケージも持参します。ソフトケージは、子どもが思いっきり引っ張って破いてしまったことがあるので室内に常時は置けませんが、たまに置いて中でおやつをあげたりしています。

避難所では、持参したソフトケージで過ごしました
避難所では、持参したソフトケージで過ごしました

荷物の量の把握は、もっとやっておけばよかった

 人の避難用品+猫の避難用品=それなりの荷物になる……ということはわかっていたつもりでも、実際は想像よりも多く感じました。

 盲点は、人の生活用品です。食料や水のほか、肌着を含めた衣類、歯磨きなどの洗面用品…など。それが家族3人分。モバイルバッテリーも複数個。避難用の持ち出し袋にまとめておいたものに、「ちょっとした旅行に行くほどの荷物」が加わり、さらに“もっとも重量のある荷物”の猫も運ぶ必要があります。

 持ち出し袋に入れていない人の持ち物もすべて集めた状態での全体量の把握は、もっときちんとしておけばよかったです。

「ぶっつけ本番」を減らすこと

 どんなに備えていても、生き残れる保証はない。その覚悟を持ちながらも、できるかぎりの備えと心づもりをしておくことは、不安がある状況にちょっとずつ安心感を足していくようなものでしょうか。シミュレーションとは「ぶっつけ本番」を減らし、行動の選択に幅を与えるものだと実感します。

 以上、(一部、反面教師としても)みなさんのペット防災シミュレーションの参考になれば幸いです。

同行避難のくわしい体験談や、ペットの同行避難NGの問題はこちらにまとめていますので、参考にしてください。
本木文恵
1983年生まれ。編集者・ライター。1級愛玩動物飼養管理士。2007年より猫に関連する雑誌・書籍の編集や執筆を行う。2017年に独立。担当した近著に『保護ねこのきもち(ベネッセ・ムック)』、「with PETs(日本愛玩動物協会の機関誌)『猫を知る』特集号」、『ねこがかわいいだけ展 公式ねこ本』など。愛猫はキジ白と茶白の2匹。人と猫のためのwebマガジン「neco-necco(https://neco-necco.net/)」運営。

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