犬猫100匹超、「劣悪な環境に」 保護施設運営NPOを告発
100匹以上の犬や猫を劣悪な環境で飼育して虐待していたとして、横浜市の日本動物虐待防止協会が、茨城県古河市で動物保護施設を運営するNPO法人を刑事告発した。古河署が13日に受理し、動物愛護法違反の疑いで捜査を進める。
告発状によると、NPOは排泄物の処理などを十分に行わず、犬と猫計100匹以上を劣悪な環境に置くなどして虐待した疑いがあるという。保護した犬に対し、狂犬病の予防接種や不妊・去勢手術をしていないなどと指摘している。
同協会の藤村晃子代表理事が3月に施設を視察し、写真と動画を撮影。動画には、汚物が堆積した施設内に、やせ細った犬猫が置かれている様子が映っていた。藤村代表理事は「劣悪な環境だった。このNPOに動物を保護させるべきではない」としている。
ただ、動物保護などを担当する県動物指導センターは「不衛生な環境にある」とした上で、「虐待とまでは言えない」との判断だ。
センターによると、このNPOについては昨年、市民から「不衛生な状況で動物を保護している」などと情報提供があり、昨年10月にセンターが立ち入り調査した。同12月に改善勧告を出したが、改善が見られなかったため、今年2月に改善命令を出した。
センターの担当者は「不衛生だが、施設内で犬猫は健康状態は良く、衰弱などはしていないことを確認している。虐待とは考えていない」としている。
NPOは、非営利での動物の保管や譲渡を目的とする「第2種動物取扱業者」にあたる。環境省によると、第2種動物取扱業者が都道府県や政令指定市から改善勧告や命令を受けたことは過去にないという。
施設の問題は、3月の県議会でも取り上げられた。古河市選出の高橋勝則県議は「担当課のやる気が感じられず、問題が解決にいたっていない」と県を批判。木庭愛保健福祉部長が「口頭指導を時間をかけて行ってきたことが結果的に対応の遅れを招いた。率直に反省し、今後は適時適切にしっかり対応していく」と述べた。
NPO法人代表理事「告発はばかばかしい」
4月中旬、告発された保護施設を訪ねた。国道沿いにある施設で、もとは工務店だったという。施設を運営するNPO法人の代表理事の男性に案内されて中に入ると、大小様々な古びたケージ内に小型犬がおり、秋田犬などの中型、大型犬は放し飼いだった。
男性によると、保護している犬は60匹、猫は11匹。100匹以上飼育していたこともあった。捨てられたり、飼い主から引き取りを依頼されたりした老犬や老猫がほとんどで、毎月譲渡会を開き、引き取り手を探している。男性とアルバイトら計3人が、掃除や餌やりをしているという。
記者が入った犬舎の床に排泄物はなく、ケージ内にも目立った汚物はなかった。男性は「いつもこのくらい(きれい)。動画や写真を撮られた時は、掃除する前で汚かっただけ」と話した。
男性は「自分の体調不良や人手不足で掃除が行き届かない時があったのは事実」と認めた上で、現在は床をコンクリートで固め、土ぼこりが立たないよう対策をしていると説明。「環境を改善している最中。告発はばかばかしい」と話した。ただ、男性が「母屋」と呼ぶ奥の建物は「まだ掃除ができていない」との理由で入ることは断られた。
一方、施設の仕事を手伝ったことがある女性は取材に「排泄物にカビが生え、12月でもケージ内にウジ虫がわいていた。衰弱した小型犬を動物病院に連れて行くと、失明していたこともある」と話した。
(益田暢子)
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