名物「招き猫」20年ぶり復活 一時は消息不明…住民が「保護」

約20年ぶりに表舞台へ復帰した招き猫と「元飼い主」の中野洋子さん(左)
約20年ぶりに表舞台へ復帰した招き猫と「元飼い主」の中野洋子さん(左)

 約20年前に表舞台から姿を消したコンクリート製の古い招き猫が、愛知県長久手市前熊の「市福祉の家」に帰ってきた。以前は近くのバス停前にあり、その地名から「大草の猫」と呼ばれ、住民から親しまれていた。「飼い主」の転居などで一時、消息が分からなくなっていたが、地元の市民グループ「上郷プロジェクト」が「保護」し、まちのシンボルとして復活させた。

「大草の猫」、目には牛乳瓶のふた

 大草の猫は、台座を含めて高さ約170センチ。目には牛乳瓶のふたがはめ込まれ、千客万来を招くという左前脚をあげている。

 所有していたのは、市内に住む中野洋子さん(74)。雑貨店を営んでいた祖父が戦前、店の前に置いていたという。

 地元の人によると、バスの利用者の目印として親しまれていたほか、子どもがよじ登って遊んでいたという。その後、中野さんが飲食店を開業し、看板猫として定着した。

看板猫、左から拝むと良い出会い!?

 大草の猫にはいくつかの言い伝えがある。左から拝むと良い出会いがあり、右から拝むと良い別れがあるとか。大人が「猫に行ってくる」と言えば、中野さんの店で酒を酌み交わす合言葉にもなっていた。

 20年ほど前、中野さんが店を閉じて引っ越すことになり、大草の猫も表舞台から姿を消した。中野さんは自宅の庭で大切に保管していたが、足元のコンクリートがはがれて衰えが目立ってきたため、「そろそろ廃棄するしかないかな」と考えていた。

 そんな時、昔の様子を知る同プロジェクト代表の加藤義郎さん(67)が「壊してしまうのは忍びない」と申し出て、4年ほど前に引き取った。

 加藤さんらは、河川敷などの清掃活動や伝統行事を守り伝えることに力を入れている。大草の猫は、弱っていた足元などを補修。市福祉の家のバス停近くに置かれ、再び多くの人を出迎える役目を担うことになった。

 お披露目会が先月あり、出席した中野さんは「また、みなさんにかわいがってもらえると思うと本当にうれしい」と目を細めていた。
(松永佳伸)

朝日新聞
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