元SKE48桑原さん 元保護犬と暮らし「殺処分ゼロ」訴える

「犬の殺処分ゼロ」を訴える元アイドルがいる。「SKE48」の元メンバーの桑原みずきさん(27)。現在は振付師やダンサーとして活動するかたわら、SNSで積極的に保護犬について発信している。犬のことをもっと知りたいと、この春にはドッグトレーナーの資格も取った。

(末尾に写真特集があります)

 3月中旬、東京都内の公園。桑原さんは愛犬の「友美」(ともみ、雑種、推定4歳)を連れてやって来た。クリーム色で、大きな耳が印象的な、メスの中型犬だ。桑原さんはその愛犬の頭をしきりになでていた。「犬との信頼関係をつくるためには、安心してもらうことが大事です。しかるのではなく、ほめることを心がけています」

 今では「散歩」と声をかけると、友美は尻尾を振って、玄関で足を伸ばす“ストレッチ”をして待っているまでになった。

ふたりでハイタッチ
ふたりでハイタッチ

飼うのなら保護犬

 桑原さんが友美を飼い始めたのは、2017年4月。都内にある「ペット可」のマンションに引っ越したのがきっかけだった。

 高知県の実家でも保護犬を飼っていた。だが、十分世話をできなかったという後悔があったという。「だから、犬を飼うなら保護犬、と思いました」。都内で引き取り手を探している保護団体の施設を訪ねた。

 ペットショップで売られている犬の多くが純血種なのと違い、保護犬には雑種犬が多い。だが、雑種は1匹1匹、顔や毛並みが違い、世界で「この子だけ」と思える存在だと桑原さんはいう。

 保護団体から紹介されていた保護犬7匹のうち、目にとまったのが、一番愛想のなかった友美だった。「他の犬は尻尾を振って寄ってくるのに、友美は隅っこでじっとしていて。その姿を見て『何とかしたい。愛情を注ぎたい』と思いました」。3カ月間考えた末、引き取って飼うことを決めた。

 家に迎えた直後、友美はストレスからか、体調が悪そうだった。まるで感情がないかのように、おとなしくて、ほえない。保護犬は心に傷を負っていることが多いとも聞いていた。仕事が落ち着いていた時期でもあり、なるべく長い時間を一緒に過ごして、臆病だった友美をならしていった。

桑原さんを信頼している愛犬の友美
桑原さんを信頼している愛犬の友美

殺処分の現実を知る

 友美を育てながら、保護犬について調べると、行政施設に保護された犬は、一定期間後に殺処分されている現実を知った。「友美と同じ境遇の犬が次々と殺処分されていくと考えると、すごく暗い気持ちになりました」。それから「殺処分をゼロにしたい」と強く思うようになったという。

 そのためには保護犬を多くの人に知ってもらうこと、そして育てる大変さを理解してもらったうえで引き取ってもらうことだと考えた。自分にできることは何か。思いいたったのは、芸能界に身を置く立場から、発信することだった。

 桑原さんは高校2年生だった2008年夏、名古屋を拠点に活動する「SKE48」に1期生として入った。地元を離れ、名古屋の高校、大学に通いながら、連日レッスンに励んだ。専用劇場での公演やコンサートに出演し、ファンとの握手会にも参加した。「忙しすぎて、箸を持ったまま寝ちゃうこともありました」という。

 AKB48とともに人気が上昇。2012年の大みそかには、NHK紅白歌合戦にメンバーの一員として出演した。数々の大舞台を経験し、2013年春にSKE48を卒業した。2014年春からは東京に拠点を移し、振付師やダンサーとしての活動を重ねている。

公園内を走る桑原さんと愛犬の友美
公園内を走る桑原さんと愛犬の友美

保護犬のイメージを変えたい

 ツイッターのフォロワーは、SKE48時代から応援してくれているファンを中心に4万5000人以上いる。そのフォロワーに向けて、友美の写真を積極的に投稿する。ドッグランで走り回ったり、部屋のソファで居眠りしたり。どの写真も幸せそうで、安心し切っている様子が伝わる。投稿には「#殺処分ゼロ」「#保護犬」といったハッシュタグを必ずつける。

「保護犬の存在を知ってもらうだけではなく、保護犬に対する『怖い、汚い』という間違ったイメージも払拭したいんです」。最近は保護犬仲間のフォロワーも増えてきたという。

「理解を広めるためには、もっと勉強しなければいけない」と、昨年4月からドッグトレーナーの専門学校にも通った。「ドッグトレーナーは国家資格ではなく、誰でも名乗ることができます。でも苦労して学校から認定されれば、より信頼が得られると思いました」

 勉強した期間は1年間。知識だけではなく、知り合いの犬へのしつけや、犬の保育園での実習などにも取り組んだ。3月にすべての課題をクリアして、ドッグトレーナーの認定を受けた。この資格と経験を生かして、さらに発信を続けるつもりだという。

「保護犬は一筋縄にはいきません。でもだからこそ、最初は遠く感じた距離が次第に近くなり、なついてくれたときの喜びが大きいんです。犬を飼い始める時、保護犬という選択肢をもった人を1人でも増やすことができればうれしいです」

(小松隆次郎)

桑原みずきさんのTwitter
@little_mamy_19

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