ペットを失った悲しみを癒やす場に 原宿にペットロスカフェ
東京・原宿に2月、愛するペットを失った人たちが思い出を語り合い、悲しみを癒やす場「ペットロスカフェ」がオープンした。ペットロスに悩む人たちのための専用施設は珍しい。
開設したのは、ペット用の仏壇・仏具などを販売する「DEAR PET(ディアペット)」。同社はペット仏壇・仏具業界ではシェア1位。10年間でのべ8万人のペットの供養をサポートしてきたという。
同社によると、家族同然に暮らしてきたペットとの永遠の別れから、食欲不振、元気が出ない、突然涙が出てくる…など、何らかの不調に陥る人が6割を超えるという。また、ペットロスの悲しみを癒すには、6割以上の人が「時間の経過を待つ以外ない」と回答。墓参りやペットの遺品の整理、ペットロス経験者との悲しみの共有と答えた人は少ないという。
ペットロスカフェをつくるきっかけは、店舗スタッフからの声だった。仏壇、仏具を扱うディアペットの実店舗では、ペットを失って来店した客から、ペットロスやペット飼育の経験があるスタッフと話すことで「気持ちが落ち着いた」「癒された」「元気になった」といった声が多く寄せられた。一方で、他の客と重なった場合は、十分話せず、短く切り上げなければならず、スタッフらに申し訳ない思いがつのったという。
それならペットロスを抱える人が、じっくり話すことのできる場をつくろうという運びとなった。
客同士やスタッフとの交流可能
カフェでは、まずオーダー用紙に注文するドリンク、別れたペットの種類(犬・猫・うさぎなど)、話しかけてOKかNGかを記入。ドリンクを飲みながら、普段は話しにくいペットとの別れのこと、闘病、思い出、後悔、今の悲しみなどについて、他の来店客やペットの飼育経験があるスタッフと話すことができる。
話したくない人は「そっとしておいてね」と書かれた札をテーブルに置くことで、一人静かにペットを偲ぶこともできる。それ以外の札には、亡くしたペットの種類のシルエットが描かれており、同じ動物を亡くした人に話しかけることもできそうだ。
各テーブルに置かれたメッセージカードには、ペットへの思いを記入し、店内に飾ることもできる。このメッセージは今後、同店2階で毎月開催する予定の“ペット慰霊祭”で読み上げる予定だという。
カフェのおすすめメニューは「虹の橋ラテ」。濃厚なエスプレッソとふわふわミルクが楽しめるラテで、かわいらしい犬や猫の特製ラテアートが施されている。ラテアートは、ティーラテや宇治抹茶ラテなど、ほかのラテ系のメニューでも楽しめる。
カフェの売り上げの一部は、保護犬・保護猫活動「いのちのバトンプロジェクト」(旅立ったペットのフードやトイレグッズのストックを預かり、保護団体に寄付する活動)の運営に活用される。
「癒やしの空間に」
同社の仁部武士社長はオープンの記者会見で「カフェでは、愛する動物を亡くした人々が集い、安心して話すことのできる、癒される空間であってほしい」と話した。
カフェは1階で、地下1階はペット専門の仏壇・仏具店、2階はペットの供養祭やペット関連のワークショップ、クリステル・ヴィ・アンサンブルによるフォスターアカデミー(保護された犬・猫を自宅で一時的に預かるボランティア育成のセミナー)などが開かれる予定のスペースとなっている。
- ディアペット東京本店 ペットロスカフェ
- 住所:東京都渋谷区神宮前2-18-7
TEL:03-6434-0878
営業時間:11~19時、カフェのラストオーダーは17時半
定休日:なし
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