飲酒運転はだめ! 亡き飼い主の柴犬、LINEスタンプに

山本寛大さんの遺影の前にいるこゆき=NPO法人「はぁとスペース」提供
山本寛大さんの遺影の前にいるこゆき=NPO法人「はぁとスペース」提供

 福岡県粕屋町で2011年に起きた飲酒運転事故。犠牲になった男子高校生が飼っていた愛犬が、無料通信アプリ「LINE(ライン)」のスタンプに生まれ変わった。愛らしい表情で、「飲みすぎー」「自転車も飲酒運転」「代行お願いします」と呼びかけている。

飲酒運転撲滅などを呼びかけるLINEスタンプ=NPO法人「はぁとスペース」提供
飲酒運転撲滅などを呼びかけるLINEスタンプ=NPO法人「はぁとスペース」提供

 スタンプの主人公はメスの柴犬(しばいぬ)「こゆき」。11年2月に粕屋町で飲酒運転の車にはねられて亡くなった2人の高校生の一人、山本寛大(かんた)さん(当時16)が小学生の時に飼い始めた。学校から帰ると、こゆきを自転車のかごに乗せて散歩に行くのが日課だったという。寛大さんの死後、こゆきは仏壇の前にある座布団で寝るようになった。

 今年3月、こゆきは乳がんを再発。翌月、好物のとんかつを数切れ食べた後に動かなくなり、12歳で息を引き取った。母親の美也子さん(50)は「毎日泣いている私にずっと寄り添ってくれた」と振り返る。

 美也子さんは、息子を失った事故をきっかけに、以前から参加していたNPO法人「はぁとスペース」で飲酒運転撲滅に取り組んでいる。そこに8月から約2カ月間、初めてのインターンとして加わったのが、スタンプを作った九州大芸術工学部1年の川波花音(かのん)さん(18)だった。

ラインスタンプを作った九州大の川波花音さん=2018年10月18日、福岡市、島崎周撮影
ラインスタンプを作った九州大の川波花音さん=2018年10月18日、福岡市、島崎周撮影

 きっかけは、飲酒運転撲滅の啓発グッズ作りの話し合いだった。学生から「若者が気軽に使えるLINEスタンプがいいのでは」と提案があり、大学で画像や映像のデザインを学ぶ川波さんが作ることになった。

 動物を使ったスタンプは人気があり、CMや啓発グッズに登場したことがあるこゆきに白羽の矢が。川波さんはこゆきの写真が載った本を、ぼろぼろになるまで読み込んだ。写真を見てデッサンを重ね、パソコンで仕上げた。特徴的なぷっくりとしたほっぺたも表現した。

 川波さんは「飲酒運転はだめと直接言っても、なかなか相手に伝わらないかもしれない。親や友達とお互いにスタンプを使うことで、気軽に啓発ができるのでは」と話す。

 スタンプには飲酒運転撲滅だけではなく、「ありがとう」「お待たせ!」など日常的によく使う言葉も取り入れた。美也子さんは「スタンプでこゆきちゃんが活躍するのがうれしい。いろんな人に使ってもらいたい」と話している。

 スタンプは全40種類。ラインのスタンプショップから「はぁとスペース」を検索し、120円で購入できる。売り上げは撲滅活動に充てる。問い合わせは「はぁとスペース」(092・692・6316)へ。
(島崎周)

朝日新聞
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