ファシリティードッグ「ベイリー」引退 2万人超の子ども励ます

職員を「退任」したファシリティードッグのベイリー(右)と後継のアニー(左)
職員を「退任」したファシリティードッグのベイリー(右)と後継のアニー(左)

 小児がんなどの重い病気に立ち向かう子どもたちを支える存在として、神奈川県立こども医療センター(横浜市南区)で働いていた犬「ベイリー」が16日、引退した。今後も時折センターに出向くものの、日々病室をまわるような業務からは退き、ゆっくり余生を過ごすという。

 ベイリーはオーストラリア生まれのオスのゴールデンレトリバーで、体重約30キロ。特定施設で常勤するために専門的に育成される「ファシリティードッグ」として訓練を受け、静岡県立こども病院を経て2012年7月に着任した。これまで延べ2万人を超える子どもたちを励ましてきた。

引退セレモニーの会場には、ベイリーへの感謝の言葉が並んだ
引退セレモニーの会場には、ベイリーへの感謝の言葉が並んだ

 センターや派遣元のNPO法人「シャイン・オン・キッズ」によると、ベイリーは今年12月に11歳を迎え、人間でいえば高齢者に。足腰も弱くなり、今後は昨年9月に後任としてやってきた犬「アニー」に業務を引き継ぐ。

 性格が温厚なベイリーは患者とその家族、病院スタッフから広く愛され、この日、センターで開かれた引退セレモニーには大勢の関係者が詰めかけた。

 「ハンドラー」として当初からベイリーと暮らしをともにする森田優子さんは「ベイリーは人間が大好き。子どもたちから心待ちにされているのもわかっていた」と話した。センターで生まれ、いまも月2回は受診に訪れる横浜市旭区の安田結さん(10)は式典で「ベッドに一緒に寝てくれて幸せだった。ありがとうベイリー」と呼びかけた。母亜都子さん(40)は「家族みたいな存在。寂しくなるけど、これからも会いに来ます」と話した。

(岩堀滋)

朝日新聞
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