保護犬猫、お寺のアイドルに ファンが歌まで作った

りんちゃん(左)とせんちゃん(右)と黒野さん夫妻ら=関市小屋名
りんちゃん(左)とせんちゃん(右)と黒野さん夫妻ら=関市小屋名

 岐阜県関市の黄檗宗(おうばくしゅう)の寺・臨川寺に、アイドル犬猫がいる。2匹の日常をブログにつづっていたら、いつの間にかファンが広がり、ブログには1日100人が訪れるほどの人気者になった。埼玉の音楽家も2匹のファンになり、オリジナルの歌まで作った。

 臨川寺は日本にインゲン豆を伝えた隠元の孫弟子で、徳川綱吉が帰依していたことでも知られる江戸時代の僧・潮音(1628~1695)が初めて住職になった寺だともいわれている。この歴史ある寺に最近、多くの人が訪れるようになった。目的は、アイドル犬猫に会うためだ。

 人なつっこい性格の雑種犬・りんちゃん(9)と、マイペースな猫のせんちゃん(推定7)。黒野幸男住職(61)と妻ちづ子さん(56)によると、2匹はもともとつらい境遇にあったという。りんちゃんは妊娠していた保護犬の子、せんちゃんは黒野さん夫妻が保護した猫だった。

 愛知県の知人が妊娠している犬を保護し、生まれた子犬の一匹がりんちゃんだった。せんちゃんは、いつのまにか寺の床下に住み着いていた野良猫だった。カラスに襲われたのか、頭に大きなけがをしていた。ちづ子さんは「うちで保護していなかったら死んでしまっていたかも」と振り返る。

 りんちゃんは寺の警備担当。犬小屋にいるときは人の出入りを、ほえて知らせる。優秀な番犬だが、ちづ子さんがリードを持つと、とたんに人なつっこい面が顔を出す。せんちゃんは接待担当。独特の笑顔としぐさで寺を訪れた人を和ませる。

 6年ほど前に、ちづ子さんが寺のブログを開設。犬猫目線で寺の日常をつづる構成に加え、かわいらしい2匹の写真も相まって徐々に読者が増えた。

 読者の一人に、埼玉県在住のジャズピアニスト山下幸子さんがいた。「愛らしさに感じ入った」とファンになった。ブログやフェイスブックを通じて黒野住職夫妻との交流も生まれ、スイング調の「りんちゃんの歌」、ボサノバ調の「せんちゃんの歌」を作詞作曲した。山下さんのピアノ、ジャズシンガー井手理夏さんの歌でCDを作った。

 6月、寺であった2人のライブでお披露目されると、「まんまるお顔のせんちゃん」と観客も巻き込んだ大合唱になった。黒野さんは「縁あってうちに来た大切な家族。みなさんにかわいがっていただいて本当にありがたい」と話している。

(山野拓郎)

朝日新聞
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