石田ゆり子さんが語る動物の看取り 「潔く去る姿、かっこいい」
動物愛護週間(9月20日~26日)に先立ち、東京都世田谷区で9日、動物たちのために学び、考え、助けるイベント「いぬねこなかまフェス2018~動物愛護週間に集まろう~」(主催・ミグノンプラン)が開かれた。動物の看取りをテーマにしたトークセッションには、大の犬猫好きとして知られる女優の石田ゆり子さんが参加。糸井重里さんや町田康さんらとともに、ペットの介護や別れについて語った。
フェスは今年で5回目。第一部では、「災害時のそなえ」についての講演のほか、「動物の看取り」をテーマとしたトークセッションが行われた。
石田さんは本業に加え、愛犬や愛猫について明るく綴るインスタグラムで大評判になっている。今回のフェスで、初めて登壇が実現した。
進行役の友森玲子さん(ミグノンプラン代表取締役)が「老犬介護のため仕事をセーブするか、悩んだんですよね」と話題をふると、石田さんが当時の状況を振り返った。
「チョコレート色の『はな』というラブラドール・レトリバーを飼い、糸井さんのウエブサイト(ほぼ日刊イトイ新聞)にも連載させてもらっていました。2014年4月に12歳で亡くなったんですが、闘病は2週間でした。病院に連れて行くと、胃がんが見つかり、治ることを前提に手術をしたら思ったよりひどく、坂道を転げ落ちるように……」
ちょうどその頃、石田さんは映画『悼む人』の撮影中だったという。死者を悼んで主人公とともに全国を旅するヒロイン役だ。
「女優で1人暮らしなので、(ペットの闘病や別れについて)悩む瞬間が来ることはわかっていたんですが。4月になって病院にお見舞いに行き、いよいよ家に連れて帰らなきゃいけないと思って病院を出たら、5分後くらいに、『心臓が止まりました』と電話が入りました」
愛犬を失った当時の心境を石田さんは毅然と語った。
「いつも思うのですが、ペットが亡くなって悲しいのは、残される人間なんですよね。必ず人間も動物も寿命を全うして天国に行くことはわかっている。ちゃんと最期まで看取ること、できるだけその動物に寄り添ってあげる“覚悟”があれば、悲しいけど悲しくないというか、一生を終えて神様の元に行くことをむしろ喜んであげなきゃいけない。それを今日は伝えにきました」
「どうすれば悲しみを切り替えられますか?」と尋ねられ、石田さんはこう続けた。
「小さい時から動物と暮らしてきたので、どこかで鍛えられたのかもしれません。その後、4匹いた愛猫もどんどん亡くなったんですが、涙が出ないことが不思議でした。看取りの時に私が泣いちゃいけない、泣くのは後でいいという思いがずっとあったんです。動物が潔く去っていくあの感じは、かっこいいし、美しいと思います」
一方、糸井重里さんは、毎日の生活ぶりを発信していたジャックラッセルテリアの「ブイヨン」を今年3月、14歳で失くした。闘病の末、入院して胃ろうもしたが、最後は無理な延命をやめて、妻の樋口可南子さんとともに病院で看取ったという。
「命が消え入りそうな愛犬の周りに、鳴いたり、わがままをいったりしている、よその犬がいたんですが、なぜかすべての犬がすごくかわいく思えた。看取りの時は冷静で、周囲の写真を撮ったりしましたが、その後は寂しくて、1人になると泣いたりもしたんです」
糸井さん夫妻はその後、8月にブイヨンの妹分のような子犬「ブイコ」を迎えたという。
「僕はおじいさんだから迷ったけど。もしもの時は持参金付きで娘に託すことになっていますよ」
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。