猫をうまく撮るコツ 習性知り、ピントは目、ローアングル…
写真家・沖昌之さんに聞く
外でネコに会えるとうれしくなる。うれしくて写真を撮って、 インスタにアップして「いいね」が欲しいけど、なんかイマイチ。 どうすれば、上手にネコを撮れるのか。コツを教えてもらった。
◇ ◇
外でネコに出会えると、つい写真を撮りたくなるが、カメラを構える前に、ほとんどのネコは逃げてしまう。
「僕もネコによく逃げられますけど、ネコを見つけると、つい焦ってカバンからカメラを取り出したりしてませんか(笑)。速い動きはネコが逃げてしまいます。そこは落ち着いて、ネコの死角まで移動して、マニュアルなら色飛び、アンダーなど起こさないようにカメラの調整まで終えてから、ゆっくりとネコを撮るといいですよ。逃げてしまうことも多いけれど、それは仕方ありません」
そう教えてくれるのは、写真家の沖昌之さん。沖さんの写真集『ぶさにゃん』『必死すぎるネコ』には、ネコ同士がけんかしていたり、ヘビをくわえていたり、よくこんな瞬間を撮れたなと思える写真が満載。どうやったらこんなふうに撮れるのだろう。
通いつめれば自然な姿が
「とにかくネコのもとへ通うことが大事だと思っていて。最初は『なんでこいつ来てんだ』と思っていたのが、半年もすると、『今日はこいつが来る日か』となって、そうなるとネコもより自然な姿を見せてくれるんです。僕は、写真を撮るよりじっと座っている時間のほうが長いかもしれません。
通ううちに、ネコの性格や関係性、習慣が分かってきます。たとえば、ここはネコの通り道になってるとか、このオスネコはこっちのオスネコと仲が悪いとか、この時期は池にカモが来るとか、この紐にみんなスリスリしてにおいを付けるとか。それが分かると、(4)のように、ネコが池に行ったらカモを狙う瞬間の撮影が狙える。(5)の写真も、このネコがよくここをくぐっていることを知っていました。だからあらかじめ、カメラを構えられるわけです」
カメラの設定はオートフォーカスでもいいのだろうか? 「いいですが、オートだと動きが速いとブレます。マニュアルが難しいなら、シャッタースピードを優先に設定することをおススメします。だいたい1000分の1秒です。そうすると、(4)のように水しぶきが止まっているように撮れる。レンズは望遠が70~300ミリ、通常は24~105ミリを使っています。
ストロボは絶対にたきません。夜の撮影など、光源が少ない状況での手ブレをふせぐためには、壁に身を寄せて手を固定したり、地面にカメラを置いたりして撮るといいです。それでもネコ自身が動いたり、耳が動いたりするとブレるので、連写モードにして、後からブレていないものを探します」
人もネコも風通し良く
かわいくネコを撮るコツは? 「ローアングルからネコの顔を撮るほうがかわいいですね。お尻や膝をついて人間も動けない状態のほうが、ネコが心を許す気がしています。
(1)のように、目にアイライトが入ると目に力が宿ります。黒ネコは光が足りないと真っ黒になっちゃうので、モニターを見ながら露出補正をするといいと思います。暗いとシャッタースピードが遅くなるので、F値(絞り)の数値を低くするか、ISO感度を上げてシャッタースピードを稼ぐようにしています。 ネコはしっぽや耳に感情が出るので、しっぽを振っているネコだったら、しっぽが上に行く瞬間を狙ったり、正面から撮る場合には耳が両方前を向いているときを意識したりしていますね」
絶対にやってはいけないことはどんなことだろうか。
「住民の方にご迷惑をおかけすることです。迷惑をかけたことで、そこにネコがすみづらくなるのが嫌なんです。住民の方とも積極的に挨拶をして、人もネコも風通しが良くなるといいなと思っています」
(編集部 大川恵実)
おき・まさゆき/1978年生まれ。ネコ写真家。主に外ネコを撮影し、ネコの自然な姿をとらえた写真が話題に。写真集に『ぶさにゃん』『必死すぎるネコ』など。2018年2月に新刊が発売予定。インスタは@okirakuoki
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