つよい生命力が宿る、この目ヂカラ
つよい生命力が宿る、この目ヂカラ

豊満ボディの保護猫「てったん」 寝たきりから奇跡の回復

 20歳超えにして、この豊満ボディー。仲良し姉妹を失ったストレスからの半身不随からも、奇跡の復活を遂げた。てったんの眼力はまだまだ不滅だ。

(文・佐竹茉莉子、写真・芳澤ルミ子)

段ボールで捨てられて

 横広のお顔。賢そうなマスカット色の瞳。上向きにちょこんとついた鼻。意志の強そうな小さな口元。そして、ふさふさのダイナマイトボディー。

 猫好きにはたまらない悩殺要素をふんだんに持つ「てったん」さん(♀)は、20歳を超えたばかり。くつろいでいると、お腹の肉がぶわっと広がって、ますます表面積が豊満に。

「えーっと、上から見ると何かに似てますね。何だろう」とつぶやくと、飼い主の内藤伸子さん(40歳)がすかさず、こう言った。

「ふふ、ホバークラフトでしょ!」

「いてくれるだけでしあわせ」と、伸子さん
「いてくれるだけでしあわせ」と、伸子さん

 洋猫っぽい顔立ちだが、20年前、へその緒のついたまま、きょうだい4匹で、友人のアパートの部屋の前に段ボールに入れられて捨てられていた。1匹は2週間しか生きず、もう1匹はその後2年生きた。あとの2匹が伸子さんのもとへやってきた黒猫の「ぶったん」と、キジトラの「てったん」姉妹である。

 姉妹は仲良くすくすくと育ち、いつしか揃って豊満に。当時同居していた伸子さんの甥っ子の海斗君の赤ちゃん時代から、添い寝するなど母親のような愛情を注いだ。姉妹が18歳になろうとする頃、やってきた子猫が「マメ」(現在2歳♀)である。公園で、ビニール袋に入れられて男子高校生が蹴とばしていたのを、伸子さんが通りかかり、保護したのだ。

 大猫2匹に子猫1匹。伸子さんと3匹の平和な日々は、続くかに見えたのだが……。

ピンクがお似合いのナイスバディおばあちゃん
ピンクがお似合いのナイスバディおばあちゃん

姉妹を亡くしたストレスで発症

 マメちゃんがやってきて、5ヶ月目の一昨年3月。ぶったんは18歳で天国へ。いつもくっついていた片割れを失ったてったんだったが、さほどのダメージを受けたように、伸子さんには見えなかったという。

 だが、その3ヶ月後。夜半、てったんは突然、初めての発作を起こした。四肢がけいれんし、物にぶつかり、失禁するという「てんかん」の発作である。いっしょにいたマメちゃんが、「ギャオ、ギャオ」と異様な鳴き声で知らせてくれたのだ。

 獣医さんの診断は「ぶったんを失ったストレスからくる発症」というものだった。発作は、間隔を置いては繰り返され、そのたびにマメちゃんが知らせてくれた。

 昨年11月には、とうとう群発発作をおこしてしまう。そのとき、脳に相当のダメージを受けたとみられ、下半身は動かず、寝たきりで目の反応さえなくなってしまった。

「お別れの覚悟をしました」と、伸子さん。睡眠時間は2時間しか取れず、昼休みにも職場から駆けつけて、精神的にもかなり追い込まれたという。

 ところが、寝たきりのてったんにオムツをあてがったところ、嫌がって、しきりに剥ぐしぐさを見せる。そのうち、前脚で実際に剥いでしまった。やがて、ヨレヨレの風体ながら、すっくと立ちあがり、何日も食べなかったご飯を食べ始めたのだ。

堂々とした歩きっぷり
堂々とした歩きっぷり

太っていたから、助かった

 伸子さんは言う。

「獣医さんには、こんなケースは奇跡だと言われました。ずっと食べなくて寝たきりでも体力を残せたのは、9キロもあったボディのおかげだとも。もうてったんはダメだと、勝手に諦めていましたが、『最後まで諦めない』ってことをてったんに教えられましたね。猫って、すごいです」

 現在、てったんの体重は4.6キロまで落ちたが、快食・快眠・快便の、悠々自適の日々を送っている。発作予防の薬を朝夕飲ませているので、発作は起きていない。

 以前の発作の時、心配で駆けつけたマメちゃんは、パニクったてったんに噛まれてしまったことがあった。以来、てったんのすぐそばに寄るのをちょっとビビっているマメちゃん。それでも、夜中の徘徊にも付き添うほど、てったんが大好きだ。

 お歳のせいか、てったんの頑固さは増した。朝と同じカリカリを与えると「これ、朝のやつじゃん」と、おかんむり。ブラッシングなどのために背後から抱こうとすると、オムツのことを思い出すのか、ものすごく怒る。「『触れ』というときもあって、その時は『触らせていただきます』という感じですね」窓から差し込む陽光の中でどーんと構える、神々しいてったん。そのそばをチョロチョロする、まだまだ遊び盛りのマメちゃん。2匹をいとおしそうに見やりながら、伸子さんは言った。

妹分のマメちゃんは、てったん姐御が大好き
妹分のマメちゃんは、てったん姐御が大好き

「てったんにマメちゃん。こうして巡り合って、そばで生きていてくれる。それだけで、十分すぎるしあわせをもらってます」と。

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