前脚のない犬のため義肢を製作 夢は動物専門の装具士

ロンドを抱える藤田宗一郎さん=2月、神石高原町上豊松
ロンドを抱える藤田宗一郎さん=2月、神石高原町上豊松

 事故で前脚を失った犬が着けられる義足を、広島国際大学(広島県東広島市)の学生だった男性が製作した。ほぼ独学で作り方を探究。将来は、動物専門の義肢装具士になるのが夢という。

 今春、同大学を卒業した藤田宗一郎さん(26)。大阪府内の大学でスポーツ選手のマネジメントを学んでいた頃、前肢を失ったウミガメに人工のヒレを着けるプロジェクトを知人の紹介で知った。

 自らもヒレの製作に加わり、専門家がほとんどいない動物の義足をつくることに興味を持った。中退し、義肢装具学を専攻できる広島国際大に入学した。

 人間の義肢について学ぶ傍ら、製作者が少なく文献も乏しい動物の義足について、自ら学んできた。ぬいぐるみを使って試作を重ね、卒業研究で本物の犬の義足を作ることに。県内にある約70カ所の動物病院へ手紙を送って協力を依頼。その中でNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(神石高原町)が保護している「ロンド」に出会った。

 ロンドはイノシシ用のワナにかかり、右前脚のすべてと左前脚の指先を失っていた。右前脚は義足を着けても肩の関節を使って動かすことができないため、左脚に義足を着けていた。その義足に代わる、新たな義足を作ることにした。

 義足は左脚の型をとり、その形に合わせてプラスチックで作り上げた。義足がロンドに合っているかは、歩く時のペースや尻尾の振り方、関節や筋肉の使い方を観察して判断し、手探りで調整していったという。卒研の義足は昨年11月に完成。その後も軽量化やクッション性能の向上に努めた。

新しい義足を着けて雪上を駆けるロンド=2月、神石高原町上豊松
新しい義足を着けて雪上を駆けるロンド=2月、神石高原町上豊松

 今年2月、ロンドが完成した義足で初めて歩いた。心臓病も患っているため休み休みではあるものの、跳びはねるようにして雪の上を少しずつ駆けていた。

 今春から愛知県内の義肢製作の企業に就職した藤田さんは、「義足があれば動物の一生が変わる。障害のある動物が持つ可能性を広げていきたい」と話している。

(橋本拓樹)

朝日新聞
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