愛犬のオーラルケアは歯ブラシを使うのがベスト!楽しい習慣に
悪化すると全身の病気にもつながる歯周病。予防するには、日々のお手入れが大切です。ホームケアのポイントを、犬や猫の口腔衛生に詳しいフジタ動物病院院長の藤田桂一先生に解説してもらいました。
ペットグッズのカタログやネットショップを見ていると様々なオーラルケア商品がそろっているが、「歯ブラシを使った歯みがきが最も効果があります」と藤田先生。歯みがきのコツ、気をつけるべき点をアドバイスしてもらった。
##効果的なオーラルケアのポイント&NG##
・ペット用の歯ブラシが最適
「綿棒やガーゼを指に巻いてハミガキをする飼い主さんもいますが、歯の表面しかこすることができません。大切なのは、歯と歯肉の間の溝までケアすること。歯ブラシが最適です」(藤田先生)
歯ブラシも、360度ブラシ面でコロコロ転がすタイプなどがあるが、これも表面をこする程度で歯と歯肉の間まではよくみがけず、効果は低いという。ヘッドが小さく、毛先が細くて柔らかいペット用の歯ブラシが使いやすいタイプがオススメだ。
飲み水に入れると歯垢がつきにくくなる液剤などもあるが、「しっかりと歯垢を落とすには、やはり歯みがきが一番」と藤田先生。
・歯ブラシは乾いたまま使わない
歯ブラシが乾いたまま使うと、歯肉を傷つける恐れがある。痛かった経験から歯みがきを嫌がるようになる犬も。水で濡らしたり、専用のジェルなどを使ったりして、痛みを感じさせない工夫を。
・ブラッシングは「200gの力」で
ブラッシングのコツは、歯と歯肉にブラシが45度になる角度で当て、歯と歯肉の間に向けて歯肉に沿って小刻みにブラシを動かしてみがくこと。強く当てすぎると犬が痛みを感じ、抵抗してしまう。「ブラシの毛が少したわむ程度、具体的には200gぐらいの力が最適。量りにブラシを押し付けてみて、ちょうどいい力加減を感じてみましょう」(藤田先生)
・歯の裏側もみがく
一見きれいにみがけているようなのに、歯周病になっているというケースも。表はみがいていても、裏側までみがけていないのが原因だ。日頃から「あーん」というコマンドを使い、口を開けたらごほうびをあげる習慣をつけておくとやりやすい。口を開けたら利き手ではないほうの手で犬歯の後ろの頬を支え、利き手で歯ブラシを使う。
・硬すぎるデンタルケアグッズはNG
歯石がつくのを予防する目的で、縄のおもちゃや動物の骨、アキレス腱などを与える飼い主も多いが、「硬すぎるものは歯が折れたり、すり減ったりする原因になるのでオススメできません。すでに歯周病が進んで顎の骨が溶けていると、硬いものをかんだ刺激で骨折する可能性も」と藤田先生。
歯みがきできたら犬をほめる ごほうびも忘れずに!
犬が歯みがきを嫌がる理由に、しつけが原因のこともあるという。「普段からマズル(鼻先)をつかんで叱っていると、『歯みがき=怒られる』と感じ怖がってしまうことも」と藤田先生。しつけにも注意が必要だ。
子犬のころから口の中や周りを触られても大丈夫なように慣らすことが大事だが、歯周病は高齢になるほどリスクが上がるので、できればあきらめずにケアしてあげたい。
まずは口周りを触り、嫌がらないようなら口の中に指を入れ、それができたらガーゼに水やぬるま湯をつけてマッサージし……と、段階的に慣らしていく。「できたらほめて、ご褒美も忘れずに。優しく、そして絶対に無理をしないこと。『歯みがきは楽しい、うれしいこと』と感じさせることが大切です」(藤田先生)
とはいえ、成犬になってからの歯みがきトレーニングは難しいケースも多い。オーラルケアの個別相談や歯みがき教室をやっている動物病院、ケアしてくれるトリミングサロンなどもあるので、困ったときは専門家のアドバイスを受けてみるのも一つの手だ。
歯みがきのタイミングは、「習慣づけのためにも毎日、1日1回が基本です。犬の場合、3~5日で歯垢が歯石に変化するので、3日以上はあけずに歯みがきすることが大切」と藤田先生。さらに「食前でも食後でもOK。飼い主さんがリラックスして歯みがきをしてあげられるときが、愛犬も一番安心できます。「歯みがきをしたら楽しいことがある、ごほうびがもらえる」と習慣づけると、嫌がらずにできるようになるでしょう」とアドバイスする。
かわいい愛犬にはいつまでも健康で長生きしてほしい。そのためにも、日々のオーラルケアを、愛犬も飼い主も習慣にしたい。
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