飼育員がいない時もAIで体調把握 円山動物園が北大と研究
札幌市円山動物園は、画像認識などの人工知能(AI)を使って動物の行動を分析し、健康管理に役立てる調査研究を北海道大学などと始めた。国内の動物園でAIを使った飼育は珍しいという。将来的にはこうした管理システムを酪農家や病院向けに開発し、ビジネスにつなげたい考え。
同園で25日、初めての検討会があり、旭川市旭山動物園元園長の小菅正夫・市参与やAIに詳しい北海道大学大学院の山本雅人教授らが参加した。
山本教授は昨年12月から今月にかけて、カメラとAI技術で9頭のチンパンジーとオランウータンを識別したり、追跡したりする実験をした結果、約8割の確率で個体識別が可能と報告した。今後は動物の行動パターンを収集。通常と異なる行動をした場合に飼育員に伝える方法を検討し、動物の細かな体調の変化を捉える仕組みなどを目指す。
円山動物園ではここ数年、ヒグマやマレーグマなどが相次いで死ぬ事例が発生。適正な飼育環境や職員の配置などを見直す中で、飼育員のいない時間帯に起こる異常事案を検知できる補完的な機能として、AI技術に着目した。今年度中にどの動物でどのような研究をするか方向性を示す。
同園は2007年に100万人の入場者数を目指すことなどを盛り込んだ基本構想を策定。15年度に98万人まで伸ばしたが、自然に近い形で飼育する動物福祉や生態系の維持など、動物園の役割が変わってきているとして、新しい基本構想の策定を目指している。
加藤修園長は「まずは動物や個体ごとのデータを集めることが大事。その上で安全な飼育や、飼育員の負担を軽減するため、技術的にどこまでできるか、どの動物でやるのが適当かを見極めていきたい」と期待を示した。
(戸谷明裕)
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