車で「出勤」してくる看板ネコ 兄弟2匹「とろ」と「むぅ」
高知県室戸市の室戸ドルフィンセンターに、毎日、職員と一緒に車で通勤してくるネコがいる。オスの「とろ」と「むぅ」。冬の陽光を浴びて体を丸くしてうたた寝したり、背伸びしたり。今ではすっかり「看板ネコ」に。2匹に会いたいと県外から来客も相次いでいる。
10年前の秋の日、室戸岬新港に段ボール箱が捨てられていた。中には5匹の子猫。3匹はもらい手が見つかったが、2匹は残った。イルカトレーナーの高橋絵里加さん(31)が引き取り、市内の自宅でエサを与え、大切に育てた。
2匹はすくすくと成長した。センターがある海の駅「とろむ」にちなんで、「とろ」と「むぅ」と名付けた。今では「とろ」の体重は5キロ、「むぅ」は4・5キロだ。
高橋さんがネコの兄弟を車に乗せて職場に連れていくと、すぐに人気者になった。それから毎日、高橋さんの車で「出勤」するようになった。
センターには「とろ」専用のベッドがある。直径35センチのカゴで丸くなっている。冬は太陽の光があるガラス戸のそば、夏は冷房の風があたる受付で気持ちよさそうに眠る。
「むぅ」は、なでられると気持ちよさそうな表情を見せる。観光客がぬいぐるみだとおもって触ると、本物なのでビックリすることもあるそうだ。
冬が終わり、港に釣り人が多く来る季節になると、2匹は帰ってこない日が続く。魚をわけてくれる釣り人が誰かわかっているのだ。釣ったアジをもらって食べるのが大好きのようだ。高橋さんは「帰ってこないので初めは心配しましたが、もう慣れました」。
同僚の石本華音さん(21)は「お客さんが来ると体をスリスリしながら、右手をあげます。エサをちょうだいのポーズです。ちゃっかりしてます」と話す。
全国から2匹のファンがやって来るようになった。写真愛好家や若い女性が愛くるしい表情をカメラやスマホで撮っていく。SNSでも紹介される。松島弘センター長は「出勤するネコは、もうイルカたちに負けない人気者ですよ」。
(笠原雅俊)
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