「かわいい」だけでは不幸に 犬を飼う前に詳しい人に相談を

種本苑恵さん
種本苑恵さん

 ペットとして、犬は猫と並んで根強い人気を誇っている。一方で、捨て犬などの問題が後を絶たない。家庭で飼う犬や警察犬の訓練士を務めている種本苑恵さん(33)に、飼育で注意すべきことについて聞いた。


――訓練士はどのようなことをしているのですか。


 家庭犬の場合、お客さんから「きちんとトイレができない」などといった悩みを聞き、解決できるようにしつけや訓練をしていきます。警察犬の場合は捜査に貢献できるよう、足跡を追う「追及」、布を取りに行かせる「選別」と呼ばれる高等訓練をしています。


――なぜ訓練士に。


 元々獣医師など、動物に関わる仕事につきたいと考えていました。高校1年生のころ、テレビでアメリカの警察犬を取り上げた番組を放送していたんですね。そこで見た人と犬とのパートナー感にひかれて、「訓練士なんてどうやろ」とネットで調べ始めたのがきっかけですね。


――訓練にどのくらい時間がかかるのですか。


 警察犬の場合だと、2、3年かかるのが基本です。1、2歳からの訓練でも間に合うと思いますが、生後半年ほどで訓練を始められるのが一番良いです。


 家庭犬の場合、訓練する内容と、飼い主さんの熱意にもよります。犬の個性を悪い方に伸ばしてしまうのは人間なんです。「この子はよくほえるの」と言われても、実はそもそも飼い方そのものが間違っていることもあります。そういうときに、飼い主がしっかり熱意を持って取り組んでくだされば、かかる時間は短くなります。


――犬を飼おうと思っている人に伝えたいことは。


 まず飼う前に、訓練士など犬に詳しい人に相談してほしいと思います。犬種はもちろん、性格によって飼育環境は変わります。「可愛いから」というだけで飼ってしまうと、後々に飼い主と犬のお互いが不幸になることもあります。


――もう少し具体的に教えてください。


 例えば、マンション向けの犬として「ビーグル」という犬種が挙げられることがあります。元々よくほえて、元気のある犬種です。ただ、散歩をさせない飼い方をすると、家の中でストレスを発散しようとして、物に当たったり、ほえたりするようになります。


 本来、ペットショップで正確な説明をするべきなんですが、どうしても良い部分の説明が多くなってしまうのも事実です。ほえる声や暴れることに耐えられなくなると、捨てる人や保健所に連れて行く人も出てきます。ともに過ごすべき犬を捨てるのは人間のエゴです。そうなる前に、ぜひ専門家や訓練士に相談してほしいと思います。


(聞き手・山田健悟)

 

たねもと・そのえ
1985年、福井市生まれ。仁愛女子高校卒業後、杉浦愛犬・警察犬訓練所(東京、静岡)で5年間住み込み修業。ジャパンケネルクラブ公認の訓練士となる。2010年に独立し、永平寺町で「DOG SCHOOL MANA」(0776・61・1338)を開業。
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