愛犬への思い書き込む絵馬、SNSで話題 全国から参拝客
今年の干支(えと)は戌(いぬ)。愛犬と一緒にお参りできるとして、全国から参拝客が集まる神社が、静岡県伊東市富戸にある。
高台から相模灘を望む神祇(じんぎ)大社。絵馬かけには、犬の形の絵馬が鈴なりになっている。それぞれ顔が違うのは、参拝客が愛犬を思いながら表情や模様を書き込むためだ。小型犬から大型犬まで、愛犬と一緒の参拝客の姿があちこちで見られる。
正月三が日には約2万人が初詣に訪れ、今年も例年並みという。地元の参拝客と観光客が半々で、愛犬連れもちらほら見かけた。
神祇大社は1988年、東京から現在の場所に遷座した。先代の宮司が犬を飼っていたことから、参拝客にも同じようにペットを連れてお参りしてもらえるよう、特に制限を設けなかったことが始まりだった。特別に宣伝はしていないが、SNSや口伝えに評判は広がり、ペット連れの参拝客が訪れるようになった。
八百万の神がまつられ、全ての願いにご利益があるという。岩本光司宮司(50)は、「犬の神社ではないんですが」としながらも、「たくさんの人に来ていただいて、神様も喜んでいると思います」と話す。
境内には、さりげないペットへの配慮も。ちょうず場の隣にはペット用の小さな水場もある。約5年前に岩本さんが「一緒に来ているワンちゃんのためにも」と用意したもので、犬も人間と同じように水でお清めができるという。
首輪に付ける「ペットお守り」も人気だという。このお守りや絵馬を買うと、おはらいを受けることもできる。昨年暮れに妻と旅行で来たという東京の会社員松原裕一さん(35)はチワワの親子、テトちゃん(メス、6歳)とノアちゃん(同、2歳)を連れて参拝した。絵馬を受け取り、夫婦に抱きかかえられた2匹は、鈴の音におびえながらもおはらいを受けた。
松原さん夫婦は「ずっと一緒に元気で仲良くいようね」と2匹への思いを込めて、絵馬に愛らしい表情を書き加えた。松原さんは「一緒にお参りできて、良い思い出になった」と笑顔を見せた。
(華野優気)
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