「犬とふれあい、達成感も」嘱託警察犬の指導員、寺内早苗さん
■技術磨いて捜索に貢献
嘱託警察犬の指導員を18年間続ける。これまで7匹を送り出し、今も飼い犬7匹のうち3匹が警察犬だ。
滋賀県警からの要請を受け、行方不明者の捜索などに協力するのが使命だ。強盗事件の捜査では「お手柄」もあった。シェパードの「ニーナ」が草むらにあった遺留品のジャンパーを見つけ、彦根署から感謝状をもらった。においをたどり、行方不明の高齢者の発見に協力したこともある。
2008年の「全日本嘱託警察犬競技大会」では、飼っていたラブラドルレトリバーの「イブ」が複数の布から見本と同じにおいの布を選ぶ「臭気選別部門」に出場。県勢として初めて警察庁長官賞を受賞した。
警察犬を育てたいと思い始めたのは約20年前。「イブ」の母にあたるラブラドルレトリバーの「メイ」が初めて飼った大型犬だったが、しつけに悩んでいた。言うことを聞いてもらえず、散歩では引きずられることもあった。
「いつか、私がけがをする」と危機感が募った。生駒警察犬訓練所(奈良県生駒市)にしつけを頼み、臭気選別と出会った。
神経質な面を見せたり、すぐに手を抜いたりと犬によって性格が違った。当初は簡単そうに見えたが、犬への接し方一つで成果が変わることに気づいた。警察犬の訓練が楽しくなった。
ちょうど同じ頃、小学校低学年の娘2人が親戚の家に出掛けた帰りに迷子になった。2人とも夜に自力で帰宅したが、家族が見つからない不安な気持ちを味わった。臭気選別の練習にいっそう関心が向いた。
しばらくして飼い犬を訓練所から引き取り、自宅の庭でにおいの付いた布を使い練習するようになった。警察犬の技量を競う嘱託警察犬競技大会が近づくと、訓練は毎日続く。「好きな犬とふれ合いながら、できないことをできるようにさせることが達成感につながっている」と話す。
日野町であった5日の審査会にはシェパードの「ベリー」など3匹と出場した。警察犬として「合格」するかは年明けに決まる。
人と違って、犬は先入観がない分、嗅覚のまま探すことができると思っている。高齢者や子どもが行方不明になる事例も絶えない。「警察犬にしかできないことがたくさん出てくる。多くの人の不安が1秒でも早く解決できるように、技術を磨いていきたい」
(藤牧幸一)
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