猫虐待や殺害のようすを動画で投稿 実刑求める署名22万筆

(画像は本文と関係ありません)
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 複数の野良猫を虐待したとして今年8月、元税理士の男性(52)が警視庁に逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。ネットを中心に実刑を求める署名活動にまで発展した事件。動機は何だったのか。なぜ反響が大きかったのか。


 鉄製の動物捕獲器、釜、ガスバーナー。警視庁は今年8月、元税理士を動物愛護法違反で逮捕したことを発表した際、証拠品の一部を公開した。「一体何に……」。その全容は警察や公判の取材でわかってきた。


 元税理士は昨年3月~今年4月、埼玉県深谷市の空き家で捕獲用の鉄製のオリに野良猫を閉じ込め、熱湯をかけたりガスバーナーで焼いたりして9匹を多臓器不全でショック死させ、4匹にやけどを負わせていた。逮捕当初は「有害動物の駆除だ」と容疑を否認していたが、動機の詳細は公判で明らかになった。


 元税理士は野良猫の糞尿(ふんにょう)被害に遭い、初めは捕獲しては自宅から離れた公園に放していた。駆除方法をネットで調べるうちに虐待動画を見るように。そんなさなかに猫に手をかまれ、猫への感情が一気に悪化し、憎しみや恨みを覚えた――。元税理士は法廷で「心を痛められた方がおり、申し訳ない」と裁判官に頭を下げた。判決は懲役1年10カ月執行猶予4年だった。


 この事件の反響が大きかったのは、元税理士が猫を虐待する様子を撮影し、ネット上に投稿していたことだ。捜査幹部は「あまりにもむごい映像。初めて見たとき涙が出た」。発信元を隠すため匿名のファイル共有サイトに投稿し、商業施設の公衆無線LAN(Wi―Fi)を使用していた。


 逮捕後、ネットを中心に元税理士の実刑判決を求める署名活動が広まり、最終的にネット署名も含め約22万筆が集まった。現行の動物愛護法では犬や猫などの殺傷罪は2年以下の懲役または200万円以下の罰金と定められている。


 同法は来年に見直される見通しだ。動物愛護の問題に詳しい佐藤光子弁護士は「連続殺傷や、その場面を撮影・投稿するなど悪質な動物虐待が発生していることを踏まえ、実刑判決も視野に入る『懲役5年以下』の罰則を検討してもよいのでは」と指摘する。


 今回の事件のような動物虐待は、どんな理由があろうと正当化されない。動物が好きな人も嫌いな人も、その点は理解できるだろう。モラルの徹底とともに、逸脱した行為への厳罰化は事件を未然防止するために必要な方策ではないだろうか。


(荒ちひろ)

 

 

■今年あった主な動物愛護法違反事件

(年齢、肩書は当時)

◆大阪府警が12月、他人の飼い猫をエアガンで撃ったとして会社員の男(38)を書類送検。「猫に指を引っかかれ、仕返しするために撃った。猫がびっくりして逃げるのが楽しかった」と話した。
◆奈良県警が12月、自宅で猫1匹を殺したとして県嘱託職員の男(25)を逮捕。
◆島根県警が11月、刃物で猫2匹を殺したとして会社員の男(32)を逮捕。
◆神奈川県警が8月、子猫2匹の前脚を粘着テープで縛るなどの虐待をしたとして派遣社員の男(38)を逮捕。子猫の口に激辛ソースを塗った綿棒を入れるなどした動画をネット上に投稿していた。
◆愛知県警が4月、路上で他人の飼い猫を踏みつけて死なせたとして会社員の男(39)を書類送検。「ギャンブルに負けた憂さ晴らしでやった」と話した。



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