ペットと同伴出勤できる会社 タクシー代支給、会議も一緒に
ひとりぼっちでお留守番してるうちの子、さびしくないかな――。ペットと暮らす会社員にとって、出勤後の心配はつきない。そうした社員のストレスを解消しようと、ペットフード事業を展開するマースジャパンリミテッド(東京都港区)は、愛犬、愛猫と一緒に出勤できる制度を設けている。
ビルの7階にある同社のオフィスゾーン。出社時間になると、一角にある大型モニターに「本日出社中」のペットが画像入りで紹介される。取材当日は「ルビー 7歳半 チワワ 女の子」。飼い主からのこんなコメントも。「好奇心旺盛ですが、若干の警戒心から、人から10センチくらい離れたところでうろちょろします……」
ルビーはこの朝、飼い主と一緒に搬入用エレベーターで「同伴出勤」。デスクのそばに仮設した囲いの中の指定席に。たちまち同僚らに囲まれ、ルビーは話題の中心に。仕事でパソコンに向かう飼い主のひざの上に乗せてもらうことも。ルビーはご満悦で、しっぽを振り振り。
事前申請制で、会社全体で1日3頭までの犬、猫の受け入れを認めている。
同社受付にはガラス張りのキャットルームもあり、2匹のネコ「きなこ」「ちょび」が暮らしている。小笠原の島の元野良ネコで、希少な野生生物を野生化したネコから守るため、捕獲し譲渡先を探す「小笠原ネコプロジェクト」に同社が協力、引き取った。隣の会議室とネコ専用トンネルでつながっており、ネコは自由に出入りできる。
ペットフレンドリーな取り組みは2005年から。ペット飼育が人に良い効果をもたらすことを、自分たちのオフィスで実証しようと始めたという。
制度面も充実している。マイカーやタクシーで同伴出勤する場合、駐車料金やタクシー代を支給。ペットの飼い始めや亡くした時には有給休暇1日と祝い金や見舞金、出張の際のペットのホテル代も出る。
広報担当の中村由帆さんは「シニア犬の留守番が心配、と制度を活用する人も多い。ペットはオフィスの潤滑油。社員同士の会話が弾み、円滑なコミュニケーションづくりにも役立っている」と話す。
(進藤健一)
1975年、米国マースインコーポレイテッドの日本拠点として設立。従業員約320人。ペットケア、スナックフード、ドリンクの3分野の事業を展開。
■社員のつぶやき 人事部ディレクター・平野郁江さん(51)
「ペットのためのより良い世界(A Better World for Pets)」という会社のビジョンに共感して、転職してきました。仕事で遅くなるとかわいそうなので、月に1度は愛犬と出勤しています。会議に連れていくと、場が和んで議論が弾みます。
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