ペットの高齢化とどう向き合う? 食事と運動が大切
◯客観的な検査で老化の判断を
ペットの老化は目に見えないところから始まっています。「年を取ったな」と感じるころにはかなり進んでいるのです。見た目が若くても、血管年齢や内臓年齢を調べると思った以上に老化しているケースは珍しくありません。定期的に検診を受けて体内年齢を確認し、早めに対応するのが一番です。
◯ケアのポイントは食生活と運動
大型犬か小型犬か、犬か猫かによっても違いますが、大まかにいえば、生後1年までが幼年期、1歳で成年(アダルト)、7歳以降はシニアとなります。7歳でもうシニア?と思われるかもしれませんが、犬も猫もおよそ7歳ぐらいから、何かしら問題が出始めるというのが獣医師としての実感です。7歳の次は10歳がひとつの節目。15歳を超えると超高齢です。健康なら、それぞれの節目でフードを年代に対応したものに変えるのが基本ですが、持病や既往症がある場合は、必ず獣医師に相談を。
運動については、人間同様です。加齢とともに運動量は減り関節疾患も増え始めるので、階段の上り下りや坂道、走るのも辛(つら)くなってきます。少しずつ散歩を短くする、階段や坂のコースを避けるなどの対応を。他の犬との接触で(それがうれしくても、嫌いでも)極度に興奮すればストレスになります。散歩の時間やコースをずらして、他の犬と出会わないように工夫しましょう。
◯介護に備えるには?
「いつも愛犬と一緒に寝ています」という飼い主さんがいます。が、ベッドに上がれなくなる、寝たまま排泄(はいせつ)してしまうなど、問題が起き始めてから寝床を別にしても、愛犬にとっては大きなストレスに。そういう子が入院すると、神経質になって治療させてくれないケースさえあります。そうならないためには若いうちから、
・ペットの居場所を作り、慣れさせる
・決められたフードで飼育する
など、誰にでも世話をしやすい条件を整えておくことが大切です。
すでに習慣が出来上がってしまっている場合はどうしたらいいでしょう。彼らはベッドや布団で寝たいわけではなく、飼い主と一緒に居たいのです。ベッドに上がれないのなら、踏台を用意する。飼い主が布団を敷いて同じ高さで寝る。飼い主の匂いのする毛布などを与えて安心できるようにするなど、工夫してあげましょう。
(朝日新聞タブロイド「sippo」(2017年9月発行)掲載)
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