作家47人の猫への思いを集めたエッセー集 「猫なんて!」
■47人のエッセー、様々な切り口で
先ごろ朝日新聞のオピニオン&フォーラム面で、瀬戸内海に浮かぶ1周約4キロの青島のことが、青島猫を見守る会の紙本直子さんのインタビューをもとに紹介されていました。人間15人、猫150匹が住むこの島で、人間と猫とが生きる共存の姿を、「目の前にある命 ここで暮らす限り 無理せず仲良く」ととらえた見出しが印象に残りました。
さて本書の表題「猫なんて!」は、猫を軽視するようにも感じられますが、人間と猫の命の尊さを教える「猫の島」と同様に、作家たち47人の猫への強い思いがこもった様々なエッセーを収録しています。
冒頭には萩原朔太郎の詩集『月に吠(ほ)える』の「猫」が置かれ、2匹の「まっくろけの猫」の「おぎやあ」という鳴き声に導かれ、ページをめくっていきます。猫を飼うことによっておこる心境の変化を角田光代が描き、擬人化した猫が生きる哲学を語る水木しげるの漫画など、さまざまな切り口で猫と人間との関わりが浮かび上がってきます。
今年作家デビュー50年になる金井美恵子さんの愛猫へのやさしさあふれるエッセー「猫には七軒の家がある」も紹介されていますが、本書にはこうした愛猫とは反対の猫嫌いをテーマにした章もあります。その代表的なエッセーは、異色な感性をもった作家・翻訳家の澁澤龍彦による猫いじめの話です。
猫偏愛者も嫌猫家も日常から抜け出た猫空間に身を置き、ひと時の安らぎを感じさせる一冊です。
キノブックス・税別1500円
(文学研究、吉永哲郎)
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