犬が喜ぶシカジャーキー 獣害に悩む小豆島で開発、本格販売へ

ジャーキー発案者の藤井さん(右)と、研究会の伊谷さん。愛犬エスはパッケージイラストのモデルにもなった=小豆島町
ジャーキー発案者の藤井さん(右)と、研究会の伊谷さん。愛犬エスはパッケージイラストのモデルにもなった=小豆島町

 小豆島特産のオリーブの樹皮や新芽をむしゃむしゃ食害してしまうシカを捕まえ、その肉を有効活用しようと、香川県の農業改良普及センターと地元狩猟者グループがペット犬用のジャーキーを共同開発した。ヘルシーでおいしいシカのジャーキーは試食した犬たちも大喜び。今年度中にも島内の観光施設などで本格販売される予定だ。


 商品名「小豆島オリーブ鹿ワンワンジャーキー」を発案したのは、県小豆農業改良普及センター主任の藤井寿江(としえ)さん。小豆島では、年間千頭を超えるシカが捕獲されるが、食肉として流通させるための加工施設がなく、ほとんどが埋設処分されている。「それならペットフードにすればいい」と地元自治体の支援も受け、2015年度に研究を始めた。


 知人らの飼い犬にシカ肉を食べさせ、好きな部位を探った。さらに地元のハンターが「小豆島野生獣肉利活用研究会」を立ち上げ、捕獲に参加。シカを解体して細かく切ったあと、100度以上の熱を加えて半日ほど乾燥させる。赤身のモモやロースを使い、高タンパク、低カロリー、無添加のペット用ジャーキーができあがった。


 今年3月、研究会がペットフード安全法に基づく製造業者の届け出をし、試験販売を始めた。真空パックの25グラム入りで税込み500円。藤井さんは「人が食べてもおいしい部位を使った自信作。一過性のブームに終わらせず、地域振興につながるよう販売戦略を立てたい」と話す。

 

小豆島オリーブ鹿ワンワンジャーキー。島内在住の文筆家内澤旬子さんがイラストを手がけた
小豆島オリーブ鹿ワンワンジャーキー。島内在住の文筆家内澤旬子さんがイラストを手がけた

 自家用の梅や野菜を守るため狩猟をしている研究会事務局の伊谷利昭さん(63)=小豆島町中山=は、愛犬のエスに味見役をさせてきた。「このジャーキーをやりすぎたら、市販のドッグフードを食べなくなるくらいおいしいみたい。愛犬家に広がってくれればうれしい」


 犬が好んで食べていたシカの骨についても、今年度中に商品化する。


(多知川節子)

 

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