警察犬シータ、不明の小学生2人を発見 サンダルが手がかり
宮崎市内の小学生2人が4月下旬のある日の深夜に行方不明になった。翌日未明、薄着で寒さに震える姿を見つけたのは、「現場にめっぽう強い」という性格の嘱託警察犬だった。宮崎南署から10日、感謝状が授与された。
小学生2人の捜索が始まった午前0時を回る頃、嘱託警察犬指導士の児玉邦子さん(67)=宮崎市吉村町=の元に県警から「行方不明児童の捜索に協力をお願いしたい」と出動の要請が来た。6歳メスのシェパード「ベリー・オブ・クィーン・フォーチュン号」(愛称シータ)は、児玉さんの様子を見てすぐさま起き上がった。
シータは宮崎市内の2人の目撃場所に着くと、親族から提供された子どものサンダルのにおいを嗅がせてもらい、捜索を始めた。
においの主を捜し続けること約1時間。子どもの居場所にはたどり着けず、冷え込みは厳しさを増す。それでも児玉さんは「シータが途中で悩んでいたポイントがあった。もう一回だけ捜させて欲しい」とシータとの捜索活動を続けた。
深夜3時過ぎ、シータの足取りが急に速くなる。近くの土手付近に向かってぐいぐいと力強くリードを引っ張る。明らかに反応が変わり、児玉さんは「この付近かもしれません」と署員に伝えた。ほどなく、土手の近くでうずくまっている小学生2人を発見。児童らにけがはなく、無事に保護された。
お手柄のシータは、児玉さんから好物の馬のアキレス腱(けん)をもらい、褒めてもらったという。
2013年に嘱託警察犬審査会で初合格してから5年目の任務となるシータは、昨年5月にも宮崎市内で行方不明者の発見、同9月には強盗容疑者の検挙に貢献した。体力自慢で元気がよく、現場でめざましい活躍を見せる一方、競技会での成績はなぜか振るわないという。
指導士になって20年以上の児玉さんにとって、シータは6代目の嘱託警察犬。「シータは実践になるとすごくやる気になってくれる。現場主義なのかも。今回も疲れた様子も見せずに小学生たちを捜し続けてくれた。私の相棒で友人で宝物です」と話す。
嘱託警察犬は、民間の指導士が飼育・指導して警察の要請で出動する警察犬。任期は1年間で毎年審査会が行われている。県警によると、現在県内では嘱託警察犬48頭と指導士26人が緊急時に備えている。
(大山稜)
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