廃業の猫カフェの猫を引き取り開店 保護猫カフェ「ひとやすみ」
保護された捨て猫や野良猫もいる「猫カフェ」が名古屋市中心部のオフィス街にある。店名は「ひとやすみ」。まったりとくつろげる場所は、保護猫を新しい飼い主に橋渡しする役割もある。店長の佐藤基広さん(53)は「かわいらしい猫の多くが殺処分されている。猫を飼う時は、ペットショップだけに目を向けないで」と話す。
名古屋市中区錦3丁目のビルの2階。桜通を見渡せる一室の約50平方メートルに8日、店が管理する猫10匹が走ったり寝転んだり。さらに、保護猫の6匹もくつろいでいた。殺処分される前に、動物愛護団体が市から引き取った保護猫のため、飼い主を募集している。
佐藤さんは写真の専門学校を卒業後、東京都内を拠点に活動するフリーの雑誌カメラマンになった。猫の飼育経験はなかったが、大の猫カフェ好き。仕事の合間をみて週2回ほど通っていた。だが、脳梗塞(こうそく)で手がしびれ出し、2012年末ごろに実家の名古屋に戻ってきた。
「他の仕事でも見つけようか」と考えていた時、閉店する猫カフェの猫のもらい手がいないことを知った。「俺、猫を引き取って猫カフェを開いてもいいんだけど」。以前は紳士服店だったビルの内装を改修し、13年8月に「ひとやすみ」をオープンした。
仕事帰りのサラリーマンやOLだけでなく、子どもから高齢者まで訪れる。店舗は目立つ場所にあるが、「わざわざ来てくれる人が多い」という。保護猫を引き取る希望者がいれば、愛護団体に取り次ぐ。これまでに約50匹を新たな飼い主へ送り出した。
名古屋市動物愛護センターによると、センターで15年度に殺処分された猫は、前年度より321匹減ったものの873匹に上っている。「ひとやすみ」には殺処分される猫などの現状を伝える資料を置いており、多くの人に知ってもらいたいという。佐藤さんは「保護猫を飼おうと思う人が増えて、殺処分される猫がゼロになれば」と願っている。
(後藤隆之)
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