にじみ出る癒やしの力 「ねこあつめの家」に主演、伊藤淳史

「ねこあつめの家」主演の伊藤淳史さん
「ねこあつめの家」主演の伊藤淳史さん

 自分の名前をネット検索することを“エゴサーチ”と呼ぶらしい。「クソ朝日」「バカ記者」。ひどい罵倒が並んでいるのだからやめりゃいいのに、これが結構見てしまう。そして、頭に血が上ったり、「これは一理あるな」と反省したりする日々だ。


「ねこあつめの家」で彼が演じる佐久本は落ち目の作家。編集者のミチル(忽那汐里〈くつなしおり〉)にいつも責められている。この佐久本も原稿が書けない時に、ついついエゴサーチをやっては激しく打ちのめされている。


「僕自身ですか? やらないですねえ。顔を合わせたこともない人々が自由に書き込むわけで、きっと嫌な言葉ばかりが目に付いちゃいますよね。その点、街で直接声を掛けてくれる人はいいですよ。『ドラマ見ましたよ、つまんなかったですね』と言われたことは一度もないですから」


 佐久本はある時、ひょんなことから東京を離れ、田舎町の一軒家に引っ越す。


「東京では友人もおらず、編集者以外はネットに書き込んでいる人としか接していなかった。田舎町に来てからの佐久本は、町の人々からじかに感想を聞くことで立ち直っていく。その変化を表現したかった」


 特に、2人の女性が佐久本を閉塞(へいそく)状況から救い出す。一人はペットショップの寺内(木村多江)。もう一人はミチルだ。佐久本のことを最も真剣に考えていたのがミチルだったことに、彼自身が気づいていく。


 この作品は「ねこあつめ」というゲームを原案にしている。しかし決して猫の映画ではなく、あくまで人間の映画だ。現代社会で生きる人々に、ホッとする何かを与えてくれる。それは、彼の子役時代の初主演映画「鉄塔武蔵野線」にも感じたものだ。


「そう言われれば、確かにそうですね。夏休みの小学生が高圧線に沿って鉄塔をたどっていくだけの話でしたが、ギスギスした社会と相反する世界観がありましたね」


 ところで写真はカメラマンの注文でハードボイルドに決めてもらったのだが、どこか人をホッとさせる何かがにじみ出している。彼自身の持つ何かが、エゴサーチですさんだ私の心をも癒やしてくれた。


(文・石飛徳樹 写真・篠田英美)

 

いとう・あつし 1983年、千葉県生まれ。映画出演作に「独立少年合唱団」「踊る大捜査線 THE FINAL」「映画 ビリギャル」など。「ねこあつめの家」は8日公開。「吉田類の『今宵(こよい)、ほろ酔い酒場で』」の公開が6月に控える。

 

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