犬のジェームス 動物愛護PR、京都から発信中

ジェームスとたわむれる高谷謙次さん(右)、美和さん夫妻=京都市右京区
ジェームスとたわむれる高谷謙次さん(右)、美和さん夫妻=京都市右京区

 僕はジェームス。柴犬(しばいぬ)とシェパードのミックスと言われていて、人間で言えば80歳ほどになるよ。捨て犬だったけど、京都市右京区の優しい夫婦に引き取られ、幸せに暮らしているんだ。僕に会いたい人は、CDやカレンダーを買ってね。売上金は保護が必要な動物たちのために使われるから、一度手にとってほしいワン。


 子犬の時に捨てられた僕は15年前、右京区の高谷謙次さん(62)の家に引き取られたんだ。高谷さんは「人なつこいのに、傘を見た時だけ震えていた。ひどいことをされたのかな」と言っている。僕が散歩をしていると、よく通りがかりの人に写真を撮られるんだ。そんな時はもちろん笑顔で、カメラ目線。僕の姿はブログやSNSで話題になってね。フェイスブックに1回投稿すると、1千人以上から反応が来ることもある。テレビにも出演し、毎週金曜の夜にはFM京都の番組にレギュラー出演しているよ。


 ところで6年前、東日本大震災が起きたよね。高谷さんと妻の美和さん(53)は、避難区域につながれたままの犬の姿を報道で見て、捨て犬だった僕の姿と重なったそうなんだ。そこで人気者の僕をからめて、被災したペットを支援することを思い立った。FM京都で僕と共演するミュージシャンの原田博行さん(49)に声をかけたんだ。


 震災から7カ月後の2011年10月、原田さんが作詞作曲した支援ソング「ジュマペール・ジェームス」(仏語で「僕はジェームス」)が完成。14年には第2弾も作られた。原田さんたちが穏やかなメロディーで歌うのは、僕の目線で見た高谷家の日常だ。「動物の素直な感情なら、肩ひじ張らず聞いてもらえるのでは」と、原田さんは期待したそうだよ。


 曲は徐々に話題になり、海外から注文が入ったこともある。震災で被災したペットを助ける団体には、30万円以上を寄付したんだ。今は僕のカレンダーの売り上げも含め、保護された犬や猫の管理や譲渡をする京都動物愛護センター(南区)に寄付している。同センターの太田眞一所長(57)は「継続して寄付してもらえるのはありがたい」と言ってくれているよ。


 とはいえ僕も80歳。美和さんにも「もうご隠居さんだよね」と言われている。今後の活動は未定だけど、SNSでの発信は続けていくよ。謙次さんは「人と人だけでなく、ジェームスを通じて、動物から動物への支援の輪を広げていきたい」と話している。

朝日新聞
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