ペットの「そっくり人形」を手作り 姿いきいき
今にも動き出しそうな犬、猫。実は人形だ。「ペットが死んで寂しい」。飼い主からの依頼を受け、佐賀市の女性が、本物そっくりに作っている。
愛くるしい目で、こちらを見てくる犬。やさしく癒やしてくれる。長い毛、短い毛、くるくるっとした毛。今にもワン、ワンとほえてきそうだ。
作っているのは佐賀市高木瀬町長瀬、江頭由紀子さん(67)。「犬が死んで寂しくてどうしようもない、と言って頼んできます。犬が高齢になったと頼んでくる人もいます」
人のそっくり人形作りに取り組む「ほのぼの創作布人形工房」(佐賀市)の江口美千代さん(70)は姉。この工房へ、犬のそっくり人形の依頼があり、江頭さんが挑むことになった。2010年のことだ。
重要なのは写真。(1)顔の正面(2)鼻の長さの分かる横顔(3)尻尾まで分かる全身。そういった写真を見ながら型紙に形をとる。それを元に、断熱材にも使われる素材を削っていき、粘土をつけて乾かす。
毛のついた布を貼り付けて、写真の通りに、はさみで切りそろえて色つけ。仕上がるのに2カ月ほどかかる。
これまでに作ったのは40匹以上。等身大のゴールデンレトリバーは、座った姿勢で高さ80センチ。毛足が長いため、専門業者から取り寄せたという。
同じ犬で座ったり、立ったり、四つの姿勢を頼んできた人。犬に続いてウサギの人形を頼んできた人も。人形を受け取り涙を流した若い女性もいたという。
江頭さんは、物心ついたら犬が自宅にいて遊んでいたという。7年ほど前、飼い犬が死んだ後は、孫にアレルギーがあるため飼っていない。それまでは犬がずっとそばにいて、犬は「子ども」という存在。天国であえるのを楽しみにしているという。ちりめん人形、球体関節人形を習い、作ってきたことが基礎にある。
猫は昨年、依頼を受けて初めて作った。
高さ約30センチ、長さ約40センチで5万円ほど。大きさ、毛の種類や長さによって金額は変わる。
(祝迫勝之)
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