人をいやすハワイの“ハッピードッグ” ロキシー
「ハワイでは、散歩中に出会う人の多くが、私の愛犬を見て“ハッピードックだね”と声をかけてくれます。これは、犬の飼い主同士が交わす挨拶のようなもので、飼い主と一緒にいる犬すべてが“ハッピードッグ”という意味だと思うんです」
(末尾に写真特集があります)
そう語るのは、ハワイ在住の日本人、スエノブ由美子さん(48)。夫のアンドリューさんとともに、愛犬ロキシー(ラブラドール・レトリバーのミックス)を撮影したヒーリングフォトブック「ロキシー~奇跡のハワイアンセラピードッグ~」(ぴあ)を昨年末に出版した。由美子さんは、このフォトブックやロキシーのポストカードの売上を動物保護活動のために寄付する活動も行っている。
フォトブックには、ハワイの美しい風景と、白い砂浜によく映える黒い犬・ロキシーの写真とともに、由美子さんの闘病生活や愛犬ロキシーがセラピードッグになるまでの感動のエピソードがつづられている。
由美子さんは、海とイルカとダイビングが大好きで、ハワイを訪れたとき、夫の日系アメリカ人アンドリューさんに出会った。そして結婚のためハワイ・オワフ島に移住。2年後の2009年、子宮がんが見つかり、がんと戦うことを余儀なくされた。
「犬がいてくれたら、抗がん剤治療も頑張れる」
由美子さんは子どもの頃から犬が大好きだった。犬がいれば、不安と恐怖でいっぱいの心の支えになってくれるのでは。アンドリューさんとともに動物保護センターに足を運び、ロキシーと出会った。保護されたばかりで、まだプロフィールも出来ていない1歳半のロキシーを迎えることを決めた。
ロキシーはすぐにかけがえのない家族になった。その後、先天性の膀胱の病気が見つかったが、手術で完治。由美子さんも辛い治療に耐え、がんを克服した。
セラピードッグの存在を由美子さんが知ったのは、治療中の病院。ロキシーも人のために何かをするのが大好きな犬だった。早く治して、ロキシーと一緒にセラピードッグのトレーニングをしようと思うと、希望もわいてきた。
トレーニングを経て、晴れてセラピードッグになったロキシーは、学校や病院、老人ホーム、個人のお宅などを訪問して、多くの人の心に寄り添う存在になっている。
ロキシーは接する相手によって態度を変えるという。元気な子どもとは一緒に遊び、病に伏している子どもにはそっと寄り添う。犬同士で遊んでいる時のロキシーは“教育的指導”をすることもあるというが、小学校で元気すぎる子どもにしっぽを引っ張られても決して怒らない。
「人のために何かしたい。使命、誇りのようなものを感じているんだと思います」
由美子さんはこの本を通して「保護犬はこんなに素晴らしいんだよ、ということも伝えたい」と話す。これからも、“ハッピードッグ”のロキシーは、由美子さんとともに“人のため”“動物のため”に活動を続けていく。
(安田有希子)
『ロキシー ~奇跡のハワイアンセラピードッグ~』
著:スエノブ由美子
価格:1,404円(税込)
仕様:B5変型版/オールカラー96ページ
発行・発売:ぴあ
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