海と山のつながり感じたヒグマウォッチングのクルーズ

雨の中、揺れる船からヒグマを撮影
雨の中、揺れる船からヒグマを撮影

 21回から夏休みの道東旅行について書いています。今回のコラムでは海から見た世界遺産知床について書きたいと思います。この日は羅臼で15:30出航のクルーズを予約していました。その名も「ヒグマウォッチングコース」。知床半島のヒグマの出没ポイントまで行く、約2時間のコースです。ついにヒグマに会いに行きます!「ついに会えるのか」「いつ会えるのか」ドキドキしながら乗船です。


 ウトロ港を出発してすぐに素敵な滝が現れました。フレペの滝、別名、乙女の涙です。このように、進行方向右側には、断崖絶壁の岩肌から流れ落ちる滝、波や風で削れた岩肌や洞窟、知床連峰など、知床半島の大自然を見ることができます。象の姿のような形をした象岩、染み出た地下水が海に直接流れ落ちる湯の華の滝、硫黄山から湧き出る温泉が川に流れ込み周辺が黄色く変色しているカムイワッカの滝……名前の付けられていない滝もあるそうです。小型船なので、近寄ることができます。大迫力!

 

知床では滝もたくさん見ました
知床では滝もたくさん見ました

 海からの大自然も満喫し、すでにおなか一杯ではあるのですが、欲の深い私はやっぱりヒグマを見たい!と思ってしまいました。船はヒグマを探しに進みます。雨と船酔いと興奮の中、記憶があいまいなところもあるのですが、以下、ヒグマに焦点を当てて書いていきます。


 最初のスポットは数日前から重機がとまっていることもあり、最近ではあまり現れないそうです。残念ながらここにはいませんでした。そう簡単には出会えないですね。次のスポット、ルシャ湾に向かいます。ルシャ湾は知床半島の中でも数少ない平場の海岸で、ヒグマのメッカと呼ばれています。ますます期待が高まります。ルシャ川の水が海に流れ込んでいて、そのルシャ川に魚を求めに来たヒグマの姿が目撃されることもあるそうです。


 途中から雨が降ってきました。顔はびしょぬれ、そしてカメラのレンズや望遠鏡のレンズには水滴がつくので、水滴をふきながら血眼になってヒグマを探しました。内心、カメラが壊れないか、ドキドキでした……。そんな中、ガイドさんから「ヒグマ、いました!」という声が!! でも霧がかかっていることもあり、肉眼では確認することはできません。ピントの合っていない望遠鏡で必死に探し、ついに平場の海岸をのっそのっそと歩く1頭の大人のヒグマを見つけました。とにかくカメラでズーム機能を最大限にし、シャッターを押しまくりましたが、ズームすると船の揺れでピントが合わず、また、霧でぼやけてしまい、うまく取れません。このコラムにもきれいな写真が載せられず悔しいです……


 その後、ルシャ川で大人のヒグマとその近くで追いかけっこしている2頭の子グマを見つけました。ガイドさんによるとルシャ湾はルシャ川の水が海に流れ込んでいて、そのルシャ川で魚を取っているのではないかとのこと。シカの群れとその群れを狙うクマの姿も見つけました。シカはクマの気配を感じ、一気に走り出しました。見ていてハラハラしましたが、山にいてはみることができなかった光景ですね。合計5頭のヒグマを見ることができました。こんなに見ることができるのは珍しいとガイドさんが言っていました。ラッキー!


 肉眼ではうごく茶色い物体がいる、というなんともあいまいな表現でしか確認ができませんでした。望遠鏡を使わず、肉眼で形を確認できるくらいの距離で見ることができるのかなと思っていましたが、レンズを通してでもずっと会いたかった野生のヒグマの姿を見ることができて、とても感動しました。

 

鳥の群れとヒグマ
鳥の群れとヒグマ

 雄大なヒグマの姿に非常に感動しましたが、このヒグマがいるのも知床の自然のおかげであることも学びました。海の栄養をたっぷり取り込んで大きく育ったサケやマスが知床の川にもどってきて、それを山のクマが食べる。知床は海と山がつながっていて、それにより生物多様性が生まれているそうです。ちなみに、サケをくわえている木彫りのクマを見たことがある人もいると思いますが、実際にはヒグマはサケの一部しか食べないそうですよ。


 事前に望遠鏡の使い方をマスターし、望遠レンズと防水機能の付いたカメラをもって再びヒグマに会いに行きたいと思います!

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